監督になっても“呪い”が継続? 2025年「ノーノー未遂」プレイバック!

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 ノーヒットノーランは継投も含めて9年ぶりに達成者ゼロで終わった2025年シーズン。その一方で、快挙までもう少しというところで記録をフイにした“ノーノー未遂”が複数回あった。【久保田龍雄/ライター】

良くも悪くも持ってるよなあ

 監督になっても“あと1人の悲劇”を味わう羽目になったのが、現役時代に3度のノーノー未遂に泣いた西武・西口文也監督だ。

 3月11日のオープン戦の阪神戦。西武は先発・菅井信也が5回を与四球2で、無安打無失点と好投。高卒4年目の育成出身左腕として成長ぶりをアピールした。

 6回以降も平良海馬、佐藤隼輔、ラミレスが1イニングずつパーフェクトに抑え、味方打線も7回に長谷川信哉の左前タイムリーで虎の子の1点をもぎ取った。

 そして、1対0の9回、5番手・ウィンゲンターも町田隼乙、小幡竜平を連続三振に打ち取り、5投手継投によるノーヒットノーランまで「あと1人」となった。

 ところが、28人目の打者・前川右京にカウント1-0からの2球目、外角寄りの低め直球を二遊間深く打ち返されてしまう。

 あわや中前に抜けようかという打球をショート・滝沢夏央が軽快にさばき、一塁に送球したまでは良かったが、ファースト・ネビンの足が離れ、判定は無情にも「セーフ!」。西口監督の就任後初のリクエストも実らず、内野安打が記録された。

 この瞬間、ノーヒットノーランは幻と消え、「心の中でひょっとしたら打たれるんじゃないかと……」と不安に思いながらベンチで見守っていた指揮官の不吉な予感が的中する結果に……。

 現役時代のみならず、自身がチームを率いるようになっても続く皮肉な“呪縛”に、西口監督も「自分が(9回)2死から2度打たれているからね。打たれるならそこしかないって」と苦笑するばかりだった。

 SNSでも、「良くも悪くも持ってるよなあ」「ここまでくるとほんとなんかすごい」などの声が相次いでいた。

口は禍の元

 NPB史上初の開幕戦での完全試合達成を惜しくも逃したのが、オリックス・宮城大弥だ。

 3月29日の開幕戦、楽天戦に先発した宮城は、切れのある直球を主体に初回から楽天打線を沈黙させる。

 1回1死、プロ初打席に立った注目のドラ1ルーキー・宗山塁を三振に打ち取ると、3、4回にも三振を2個ずつ奪うなど、7回まで1人も走者を許さない。

 そして、完全試合まで「あと6人」と迫った2対0の8回、先頭の辰己涼介をボテボテの一塁ゴロに打ち取ったかに見えた。

 だが、宮城自ら一塁ベースカバーに入るも、辰己の足が勝って内野安打に……。2022年のロッテ・佐々木朗希以来、史上17度目の快挙を期待していた京セラドームのスタンドは、ため息に包まれた。

 直後、宮城はフランコにも右前安打を許し、1死一、三塁から伊藤裕季也の犠飛で失点、完封も消えたばかりでなく、降板後の9回には守護神・マチャドが宗山にプロ初安打となる右前同点タイムリーを許したことから、勝ち投手になることもできなかった。

 試合後、宮城は「ジャパンの時に曽谷(龍平)さんの文句を言ったから、同じような(ボテボテの)ヒットになったので、言葉には気をつけます(笑)」と反省の言葉を口にした。

 実は、宮城は侍ジャパンとしてベンチ入りした3月6日のオランダ戦の試合前、チームメイトの曽谷と「今日は完全試合になるんちゃう」と話していたという。

 だが、8回から登板した曽谷が2死からボテボテの三ゴロが内野安打になる不運でパーフェクトリレーを逃すと、ベンチに戻ってきた曽谷を「言霊やな」「オレの言ったとおりやな」といじりながら慰めていた。

 それから23日後、今度は自分自身が“魔の8回”で同様の不運を味わう皮肉なめぐり合わせになろうとは、“口は禍の元”としか言いようがない。

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