流行語大賞ノミネート「ぬい活」に店側が頭を抱える“意外な理由”…ぬいぐるみやドールを「持ち込み禁止」にする施設も

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コスプレを巡るトラブルも多い

 市民権を得つつあるコスプレを巡るトラブルも後を絶たない。イベントの会場によっては許可を出していることもあるが、まったくコスプレと縁もゆかりもない場所をコスプレ姿で訪問したり、撮影を行ったりして、トラブルに発展する例も見られるようだ。文化財にも指定されている洋館の受付担当者がこう話す。

「うちには以前から、コスプレ撮影と思しき人が訪れていました。最初は黙認していたのですが、いつしか集団で訪れるようになり、館内のトイレを長時間使って着替えだす人もいました。また、建物が好きで訪れている人にとってコスプレは奇異に映るようで、クレームが来るようになったため、だいぶ前にコスプレを全面禁止にして現在に至っています。

 あと、私はアニメの知識もないのですが、問題なのはコスプレとゴシック・ロリータの服と区別。以前、ロリータの服を着ている人に“コスプレでの来場はご遠慮ください”と注意してしまったことがあるんです。すると、“これはコスプレではありません!”と怒られてしまいました。そういった服の愛好家からすると、普段着なのかもしれませんが……」

施設のルールに従うのが原則

 取材を重ねると、ぬい活やドール活、そしてコスプレに困惑している施設は意外に多いことがわかる。しかし、管理者側も「お客さんなので強く言うことができない」「何か言うと、今はすぐにSNSに書かれてしまうのが怖い」と、頭を抱えているようだ。

 とはいえ、トラブルに発展する例はごくごく一部のはずだ。しかし、推し活をしている人たちは何かと目立つ。そのため、誰か一人が問題行動を起こしてしまうと、大きな騒動に発展しやすい。結果、トラブルを回避するために、苦肉の策としてぬいぐるみやドールの撮影や、コスプレ姿での来場を禁止する施設が増えてきた。

 もちろん、施設や店主に断りさえ入れれば、問題なく撮影できる施設も少なくない。だが、あまりにトラブルばかりが目に付くようになると、今後、撮影禁止になる施設が増えかねない。推し活に対して社会は寛容になってきたが、くれぐれも施設側が提示するルールを順守し、マナーを守って楽しみたいものである。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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