「現役ドラフト」で12人が移籍 球団関係者が明かす…ブレイクが期待される“3選手の実名”
12月9日に行われた現役ドラフト。出場機会に恵まれない選手の“飼い殺し”を防ぐ目的で2022年からスタートし、今年で4回目を迎えた。過去には細川成也(DeNA→中日)、大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)が移籍先で大きくブレイクしたほか、昨年の現役ドラフトで移籍した選手では、田中瑛斗(日本ハム→巨人)と矢崎拓也(広島→ヤクルト)がリリーフ投手として大きな戦力になった。今年は1巡目で終了となり、12人の選手が来季から新天地でプレーする。この中から飛躍する可能性が高いのは誰になるのだろうか。【西尾典文/野球ライター】
【現役ドラフトで注目】足と肩は球団トップクラス「佐藤直樹選手」のプレー姿
楽天の首脳陣と相性が良いかどうかが重要
ある球団の編成担当者に聞いたところ、真っ先に名前が挙がったのが佐藤直樹(ソフトバンク→楽天)だった。
「佐藤は、運動能力が抜群です。足と肩に関しては、ソフトバンクの外野陣の中で間違いなくトップクラスでした。打撃の確実性が課題でしたが、今年は大きく成長しているように見えました。正直に言えばソフトバンクが佐藤を出したのには驚きましたね。移籍先の楽天は、辰己涼介がFA権を行使して退団する可能性がありますので、ピッタリの補強だったのではないでしょうか。いきなり外野のレギュラーになることも十分に考えられます」
佐藤は、2019年のドラフト1位でソフトバンクに指名され、JR西日本から入団した。昨年まではなかなか結果を残すことができなかった一方で、今年は104試合に出場して5本塁打、10盗塁をマークしている。打率.239と高くないものの、45安打中17本が長打、長打率.410と高い数字を残した。
一方で気になる点もある。
「能力の高さは誰もが認めるところですが、少し精神的にムラがありますね。藤本博史監督時代の2年間は、干されているような状況で、ファームでも無気力に見えるプレーが多かったです。楽天の首脳陣と相性が良いかどうかが重要になりそうですね」(ソフトバンクの球団関係者)
とはいえ、楽天の支配下選手で右バッターの外野手は、今季53試合出場のゴンザレスと5試合出場の吉野創士しかおらず、佐藤にとってはレギュラーを掴む絶好のチャンスとなる。来年の春季キャンプやオープン戦からアピールに成功すれば、定位置の確保が見えてくるだろう。
本人にとってはプラス
佐藤と同じ右打ちの外野手で活躍が期待されるのは、井上広大(阪神→ロッテ)だ。井上は履正社時代の3年夏に4番打者として甲子園優勝に貢献し、2019年のドラフト2位で阪神に入団した。6年間の一軍成績は、20安打、3本塁打、打率.189にとどまったものの、二軍では2022年にウエスタンリーグの最多安打をマークしたほか、2024年には首位打者も獲得した。
現在24歳と若く、阪神が放出したことに対してファンから驚きも出ていた。阪神の球団関係者は、井上放出の背景について以下のように話している。
「今年のドラフト会議で実力がある野手を獲得したことが大きいです。1位の立石正広(創価大、内野手)と2位の谷端将伍(日本大、内野手)はいずれも長打が期待できる右打者で運動能力が高い。2人とも外野も守れるでしょう。そうなると、井上の出番はこれまで以上に少なくなってしまう。本人にとって出場機会を得られる球団に移籍するのはプラスです。現役ドラフトの制度にマッチした移籍になったと思います」
ロッテのチーム状況をみると、今年はルーキーの西川史礁や育成出身の山本大斗が活躍を見せた一方で、チーム本塁打数はリーグ5位に低迷し長打力が不足している。阪神よりロッテの方が、井上が割って入る余地は多いように見える。持ち前の長打力を発揮できれば、一軍定着が視野に入ってくるのではないか。
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