高市首相に3000万円寄付した謎の宗教法人「神奈我良(かむながら)」の実態とは 専門家は「実態が不透明な法人が大金を捻出しているのは不可解」
地元の大スポンサー
およそ157平方メートルの敷地に、延べ床面積は約228平方メートル。そんな「神殿」を擁する「神奈我良」の代表役員は、川井徳子氏(67)。奈良県内で手広く事業を展開する「ノブレスグループ」の代表を務める女性だ。登記簿などによれば「神奈我良」が設立されたのは1966年で、川井氏が代表に就いたのは2000年のこと。また、ノブレスグループのホームページによると現在、傘下企業は7社で、従業員数は合計1200人超。そのうち、ホテルやレストランを経営する「ワールド・ヘリテイジ」社の直近の売上高は、34億円に上る。
そんなノブレスグループを率いる川井氏は、個人としても20年に50万円、21年には1000万円、そして23年には300万円をそれぞれ自民党奈良県第二選挙区支部に寄付している。
全国紙のデスクが言う。
「今回は『神奈我良』からの3000万円とは別に、個人で1000万円、合計で4000万円を寄付している。これは昨年の同支部の収入の2割超にあたる大金です」
首相にとっては、まさしく地元の大スポンサー。とはいえ、前述の通り宗教団体の実態については大いに疑念が生じるところだ。
「非常に不可解です」
宗教ジャーナリストの小川寛大氏に聞くと、
「1年間で6000万円もの経費を使う宗教法人など、現実にはほとんどありません」
そう前置きしながら、
「最近は、古くからある神社やお寺でも資金繰りに困ってつぶれるところが増えています。檀家や氏子を300人くらい抱えている寺社でも、年商1000万円あればよい方です。一般的に、経費を使うにはその2~3倍の収入が必要。地元で誰もが知っている寺社ならいざ知らず、名前を聞いたこともなければ活動実態も不明瞭な宗教法人が、そんな額の経費を捻出できるのだとすれば、非常に不可解です」
実際に、「大和皇神殿」の入り口の記帳台に置かれた芳名帳を見ると、今年度に記帳した来場者の数はわずか21人。うち、川井氏の身内やグループ企業の幹部らも複数含まれていたのだから、神社としての活動実態にはますます疑問符を付けざるを得ない。
当の川井氏に尋ねると、「神奈我良」は適切に運営されているといい、
「ご指摘の寄付についても、政治資金規正法に定められた要件を満たしており、前年における年間経費は寄付額の2倍以上であることを確認しております。なお、詳細な数値につきましては、法令に基づき所轄庁に報告済みであり、外部への個別開示は行っておりません」
これでは到底、疑いは拭えまい。一方、受け取った側の高市首相はといえば、自身の事務所を通じて、
「法人寄附のお申し出をいただいた際に、寄附要件の打ち合わせをさせていただき、年間経費の件も確認済であり、何ら違法性はございません」
高市首相はいつものように歯切れ良い説明ができるのだろうか。
12月11日発売の「週刊新潮」では、新たに浮上した高市首相の“違法献金疑惑”について、複数の専門家の見解を交えて特集する。








