監督の「チームを奈落の底に落とす」発言にぶち切れた…自らトレードを志願した名選手たち

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 巨人の若手捕手・山瀬慎之介が契約更改を保留し、「若い時間がすごく無駄になっちゃう」と1軍での出番を求めてトレードを直訴したことが話題になった。

 11月27日、山瀬は二度目の契約交渉に臨み、320万円増の年俸1000万円(金額は推定、以下同)でサインした。同日付のデイリースポーツは、「来年は来年はというシーズンがここ2、3年続いていて、もちろんジャイアンツでやりたい気持ちはあるが、来年も同じような形だったら違う選択肢を考えてほしいです……と。それぐらい試合に出たいという話をした」という山瀬のコメントを報じている。

 そして、山瀬より以前にも、さまざまな理由から自らトレードを志願した男たちが存在した。【久保田龍雄/ライター】

監督殴って辞めたろ

 3年契約の1年目オフに突然トレードを直訴したのが、中日時代の山崎武司だ。2001年オフ、山崎は同じ一塁でゴメス、大豊泰昭とポジションが重なることなどを理由にFA宣言、3年総額5億円を提示した横浜への移籍が決まりかけた。

 だが、その後、中日がインセンティブを含めてほぼ同条件の3年契約を提示し、山田久志新監督から「来年はレギュラーとして頑張ってくれ」とエールを贈られたことも決め手となり、残留を決めた。

 ところが、翌02年、開幕から打率.195、1本塁打と不調の山崎は、4月下旬に登録抹消されると、7月初旬まで2ヵ月以上も2軍に据え置かれた。

 さらに1軍復帰後の7月26日の阪神戦で、3対3の9回1死満塁のチャンスに三振に倒れるなど結果を出せず、チームの敗戦につながったことが、トレード直訴事件の引き金となった。

 試合後、山田監督は山崎の名前こそ出さなかったものの、「みんな必死になってつなごうとチャンスをつくるのに、どこかでブツッと切ってしまう。使うほうが悪いんだけど、チームを奈落の底へ落としてしまう選手がいる」と非難した。

 この発言に強い不信感を抱き、「監督殴って辞めたろ」とまで思いつめた山崎は同年オフ、「俺はもう、我慢できません。これ以上中日にいたら、傷害事件を起こして、皆さんに迷惑をかけてしまうかもしれないので、トレードに出してください」(自著『さらばプロ野球 ジャイアンの27年』宝島社)と西川順之助球団社長に直訴、3年契約を1年で打ち切り、平井正史との交換トレードでオリックスに移籍した。

 しかし、皮肉にも山崎は、オリックス移籍2年目に伊原春樹監督と衝突し、引退危機に追い込まれることになる。

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