今年8月に「習近平国家主席」の警護部隊と「人民解放軍」のエリート部隊が“衝突”か…専門家は「9月にはクーデター寸前の動き」も指摘

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増援部隊も派遣

 さらに9月29日、中国河北省の保定市から北京市に向かう高速道路で、多数の軍用車両が北京に向かう様子を中国人が目撃した。あるネットユーザーは撮影した動画を海外でインターネット上に投稿した。

「目撃者によると、高速道路を通行した軍用車両は100台を超え、装甲車、物資車、兵員輸送車、医療車などが含まれていたそうです。さらに海外で投稿された動画は約30秒の長さで、兵員輸送トラックが最も多く確認されました。兵員輸送トラックは厚いシートで覆われ、中の様子は分かりません。ただし数十台の兵員輸送トラックには数百人の兵士が乗っていたと推定されています。中南海地域で軍事衝突を起こした第82集団軍は保定市に駐屯しています。つまり第82集団軍の一部が北京に移動したわけです。これは党中央弁公庁警衛局部隊との武力衝突が原因で、中南海地域に増援部隊が派遣されたと考えられます。しかし、当時は中国共産党の重要会議『4中全会』の開催を控えており、その期間は10月20日から23日までの予定でした。その約1か月前という緊迫した時期に、日中は交通量の多い高速道路を第82集団軍の部隊が公然と移動したわけです。これは一種の示威行為と見るべきでしょう。第82集団軍は習主席に対して『俺たちはクーデターを起こすこともできるぞ』と“脅迫”したのです」(同・田中氏)

習主席に反旗

 習主席に対する“示威行為”とは穏やかではない。習主席と人民解放軍は一枚岩となって台湾侵攻の準備を進めているのかと思えば、むしろ軍の一部は習主席に反旗を翻したというのか。

 第2回【“暗闘”続きで揺らぐ「習近平」体制…中国が高市首相の“答弁”に異常な反発を示す理由 専門家は「“反日”で団結するために利用している」と解説】では、習体制の“弱点”と、高市首相の発言を中国が積極的に利用する理由についてお伝えする──。

田中三郎(たなか・さぶろう)
1938年10月、岐阜県高山市生まれ。1972年、防衛大学校電気工学科卒業、陸上自衛隊に任官。一貫して情報幹部として人民解放軍などを調査、研究。一時期外務省中国課に出向し外務事務官として勤務。陸上自衛隊小平の業務学校業務管理教育部長(1佐)を最後に退官。現在は主に月刊誌「軍事研究」に論文を発表している。

デイリー新潮編集部

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