中国が台湾占領に成功する「二つのシナリオ」とは 仮に失敗しても「自衛隊は航空機112機、艦艇26隻を失う」
「問題は山積」
前出の岩田氏が次のように言う。
「有事の際、台湾は、保有する戦闘機を中国のミサイル攻撃から守るため、いったん、台湾東部の2カ所の空軍のトンネル基地内に戦闘機を温存します。中国は台湾全土へのミサイル攻撃終了直後、このトンネル基地をつぶすため戦闘機による攻撃を行います。台湾空軍は、迎撃のため数百機の戦闘機が緊急離陸して対応します。現代の戦闘では、超長射程での空対空戦闘が標準化しています」
例えば、インドとパキスタン空軍の5月の空中戦では、中国製のPL-15ミサイルが射程160キロ近い距離でインド空軍の戦闘機を撃墜したとの報道もある。一方、台湾と与那国島の間は約110キロしかない。
「台湾の東にある与那国島の周辺が戦闘空域となることは明白です。戦闘が激化すれば、中国軍・台湾軍の双方が、与那国島南部に設定されている日本の防空識別圏を越えて侵入してくる可能性もある。航空自衛隊はこれに対しスクランブル(緊急発進)などを実施しなければなりません。偶発的な衝突が発生し、日本が直接的な戦闘に巻き込まれる危険性が高まるのです」(同)
政府は台湾有事を念頭に石垣島や宮古島など、先島諸島の住民ら計12万人を九州・山口の8県に6日間で避難させる計画を立てているが、
「問題は山積しています」
とは、陸上自衛隊中部方面総監などを歴任した山下裕貴氏だ。
「例えば石垣島の島民が車で一斉に空港へ向かえば、主要道路はたちまち大渋滞を引き起こすでしょう。また悪天候の場合、航空機による避難は不可能となります。さらに、家畜の世話を理由に避難を拒否する島民はどうするのか。沖縄県は今年1月、図上での避難訓練を実施していますが、計画が実現可能なのか、実動演習による早期の検証が必要ではないでしょうか」(同)
後編【「中国は核兵器を使用する可能性もある」 専門家が指摘する「台湾有事」で戦火が日本の領土に広がるリスク】では、核兵器の使用まであり得るという「台湾有事」のリスクについてより詳しく報じる。
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