米デトロイト「低所得エリア」で感じたうらやましさ 日本に無くて “高貧困率のラストベルト”にあった光景
日本では珍しくなった光景が
以上、15カ所の小売業をまわった印象を駆け足でまとめてみたが、最も印象に残ったのは、スーパーのおもちゃ売り場や、ショッピングモールに入っている「トイザらス」などの玩具専門店だ。クリスマスシーズンということもあって、子供たちがはしゃぐ姿や、おもちゃを欲しがって駄々をこねる姿が頻繁に見られた。
特に、日本ではほとんど見かけなくなった「コイン式遊具」が至るところに置かれていたのが新鮮だった。そうした光景を見るにつけ、日本はやはり少子化が深刻なのだと痛感させられた。
今年の出生数は65万人強と予測されている。筆者は人口が1億人に達した1967年の生まれだが、その時の出生数194万人と比較すると、3分の1にまで減っている計算だ。小売業からすれば将来の顧客が、国からすれば将来の税金を払ってくれるタックスペイヤーが減ることを意味する。いずれにしても将来的な内需経済の縮小がほぼ確実になってしまっている。
これに対してアメリカは、合計特殊出生率こそ1.6台と日本同様に低下傾向にあるものの、年間の出生数はなお約360万人(2023年)と日本の5倍以上に達し、移民の流入もあって人口全体は増加を続けている。移民問題はあるにせよ、売り場を視察すると単純に子供が多く、明るい将来がうかがえる。ショッピングモールの企画でサンタクロースと触れ合う子供の姿は微笑ましく、クリスマスにワクワクして、思わずこちらも子供のような気分に戻ってしまった。
おもちゃ売り場が徐々に消えていった日本では、「茹でガエル」のように危機を感じにくかったが、この状況が続くと、日本では20年後の小学生以下の子供の人口構成は7~8%台もありえる。それを踏まえると、まぶしい光景である。
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