本当に有吉弘行は「最も愛されている」芸能人なのか? 「タレントイメージ調査」圏外でも紅白司会に3年連続で抜擢された理由
今田の役割とは
40代以下の有吉への支持は分厚いが、紅白は全世代に向けた番組。50代以上はどうするのだろう。ここで生きてくるのが今田の起用である。
今田がヒロインを務めた「あんぱん」は期間平均で個人視聴率9.0%(世帯16.1%)と上々の数字を残したが、最大のファン層は50代以上の女性なのだ。並みの数ではない。実に約5人に1人が観ていた。
F1層と呼ばれる20~34歳の女性の約20倍前後にあたる。F2層と称される35~49歳の女性の約3~4倍だ。
50代以上は男性も約8人に1人が「あんぱん」を観ていた。今田を司会に起用し、この朝ドラのコーナーを設けたら、50代以上が観てくれる期待が高まる。
紅白と朝ドラの融合はもう既定路線だろう。2020年の司会には朝ドラ「エール」(同年度前期)の準主演・二階堂ふみ(31)が起用された。以降、2023年は「らんまん」(同年度前期)の準主役・浜辺美枝(25)、2024年は「虎に翼」(同年度前期)のヒロイン・伊藤沙莉(31)が司会に迎えられている。「おむすび」(同年度後期)のヒロイン・橋本環奈(26)は2022年から3年連続で司会だった。
紅白も朝ドラも保守本流のテレビ番組だから、親和性が高いと見る。放送中の「ばけばけ」(2025年度後期)の主題歌「笑ったり転んだり」を歌うハンバート ハンバートも紅白出場が決まっている。
RADWIMPSによる「あんぱん」の主題歌「賜物」も企画コーナーで間違いなく歌われる。この曲は酷評する視聴者も少なくないようだが、待っている視聴者もいるはず。北村匠海(28)、河合優実(24)ら共演陣も紅白出演の準備を始めていることだろう。
今田のCM出演に関するコミッションを所属事務所「コンテンツ・スリー」が大手芸能プロ「ケイダッシュ」のグループ会社に約束どおりに支払わなくなったとして、訴訟に発展しているが、会社同士のビジネス上の問題なので、今田の司会に影響する余地はない。
タモリ起用が分岐点
紅白の司会に最大級の支持が得られそうな人物が起用されるようになったのは総合司会にタモリが起用された1983年から。世間は驚いた。それまで紅白の男性司会者にはNHKアナと歌手以外、起用されたことがなかったからだ。当時、タモリは38歳だった(2021年以降は総合司会、紅組司会、白組司会の区分がなくなり、司会で一本化)。
タモリが司会のフジテレビ「笑っていいとも!」(1982年)が始まってから1年2か月後だった。この番組は放送開始からほどなく大評判となり、タモリ人気も沸騰した。1970年代後半までタモリが売り物にしたイグアナのモノマネなどを一部女性は毛嫌いしていたが、「いいとも」によって、それも吹き飛んだ。
紅白がタモリを司会に要請した背景には視聴率の下落があると見られた。タモリ起用の前々年だった1981年、紅白の世帯視聴率は74.9%だった。ところが起用前年の1982年は同69.9%。5%も落ちてしまった。これは大きい。紅白がタモリ人気に頼ろうとしたとしてもうなずける(当時の紅白は午後9時から。同7~8時台に1部が始まる2部制への移行は1989年)。
紅白でのタモリはいつも通り。会場のNHKホールの観客に「いいとも!」と言わせたり、出場者に辛口のギャグを浴びせたり。その結果、世帯視聴率は74.2%まで上昇。V字回復を果たした。
綾瀬は6年ぶり4回目の紅白の司会。綾瀬は最も愛されていると言ってもオーバーではない存在ではないか。前出・タレント人気度調査でもトップ。2位の長澤まさみ(38)、3位の新垣結衣(37)らを抑えた。この調査は半年に一度行われるが、綾瀬は2000年代から上位に入り、1位を20回も得ている。
支持のバロメーターであるCM人気も実質1位。よく女優ごとのCM契約数が話題になるが、実際にはあまり関係ない話なのである。契約金をダンピングすれば契約数は簡単に増やせるからだ。
そもそも新興企業と大手有名企業のCMを同一線上で考えることがナンセンスなのである。契約金もCM制作予算もスケールが全く異なる。
ニホンモニターによる今年1月から11月までの契約数を見ると、上位組の女優は20社以上を少し超える。だが、新興企業や中小企業も含まれている。
綾瀬は9社だが、ファーストリテイリング(ユニクロ)、キッコーマン、キリンビール、日本生命保険、P&Gなど大手有名企業ばかり。契約金も女優でトップというのが芸能界の常識だ。
綾瀬が初めて紅白の司会を務めたのは2013年。主演した大河ドラマ「八重の桜」が放送を終えた後だった。今年は語りを担当している大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の終了後に紅白に臨む。NHKと関係が深い人ということでも綾瀬は司会に起用しやすいだろう。
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