「悔しくて悲しくて、心が張り裂けそう」 「電影少女」の原画を盗まれた桂正和氏が明かす 「出回っている分の購入を控えていただきたい」

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【全2回(前編/後編)の後編】

「週刊少年ジャンプ」の黄金時代を築いた漫画家の一人、桂正和氏(62)。1989~92年に連載された代表作「電影少女」の原画が、丸ごと盗まれる被害に遭ったそうだ。「犯人の目星は付いている」という事件の経緯と核心部分について、桂氏本人が告発する。

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 前編【「命を削って描いた『電影少女』の原画が盗まれた」 漫画家・桂正和氏が怒りの告発 「警察は被害届を受理してくれず…」】では、原画が丸ごと盗まれた経緯について報じた。

 桂氏の元にはその後、数多くのタレ込みが寄せられた。桂氏の代理人を務めるサン綜合法律事務所の酒井奈緒弁護士はこう述べる。

「私たちが情報を精査した結果、引っ越しに立ち会った業者の中に、犯行に及んだ可能性の高い業者が含まれていそうなことが分かりました。また、この業者と通じている共犯者と思しき古物商の存在も、浮かび上がってきた。さらに、弁護士会を通じてサイト側に情報開示請求をかけたところ、盗まれた原画を出品していたアカウントの一つは、なんと件の古物商が作成したものだったのです」

 まさに“ホシ”が割れつつある今、桂氏は改めて警察に出向く準備を進めているという。

「書類上はあくまでも“被疑者不詳”になると思いますが、疑惑の業者と古物商に関する証拠をそろえ、窃盗罪などでの刑事告訴を予定しています」(同)

「桂先生が代金を支払う必要が」

 果たして彼らは、何をしたのか。本誌(「週刊新潮」)が古物商を直撃すると、こう答えた。

「私はきちんと委託契約を結び、引っ越し現場で不用品の回収業務を担いました。でも、桂先生から“これは捨てないでくれ”といった指示は受けていません。回収した物はその後、何度かに分け、リサイクル業者に渡しています。その中に原画が含まれていたかどうかは知りません。しばらくたってヤフオクで原画が出品されているのを目にし、私の手元にも残っていたので、数枚だけ出品したんです。盗んだわけではない原画をどう処理しようが、いいじゃないですか」

 さて、先の酒井弁護士に今後のことを尋ねると、

「仮に、告訴が受理されるなどして盗難に遭った可能性が認められたとしても、その先にはハードルが待ち構えています。盗まれた時点から2年以内であれば返還を請求できますが、相手がヤフオクなどで原画を購入していた場合、桂先生が代金を支払わなくてはいけません。盗まれた物だという事情を知らずに取得した第三者には、所有権が発生するからです」

 無論、犯人の手元に残っていれば、代金を支払わずに返還請求は可能である。

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