なぜ視聴者は熱狂するのか 年内の「水ダウ」は「名探偵津田」一色に…伝説になった「長袖をください」
知的好奇心を刺激
まず、この企画の核にあるのは、津田篤宏という芸人のキャラクターとしての魅力である。彼は普段から感情の振れ幅が大きく、驚き、困惑、怒りなどがすぐに表情と声に出る、リアクションが良いタイプの芸人である。この企画では、津田がドラマ仕立ての本格ミステリーの世界に放り込まれ、強制的に名探偵役としてふるまうことになる。
津田もシリーズの最初のうちは、しょせんドッキリ企画だとたかをくくっていたが、自分が事件を解決しないといつまで経ってもドッキリが終わらないことを思い知らされ、嫌々ながらドラマの設定に乗って、探偵として行動をすることになる。
その過程で見せる困惑、焦燥、怒り、苛立ち、そしてあきらめのような感情の起伏に、視聴者はぐいぐい引き込まれていく。特に、第3話で沖縄に行く気満々だった津田が新潟に行かされることになり、マネージャー役の女性と延々と押し問答を続けた挙げ句、キリッとした表情で「長袖をください」と言い放つシーンは伝説となった。このフレーズは今年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた。
この企画では、物語の世界全体が津田を陥れるためのドッキリとして設計されている。ただ、ドッキリと言っても、単に驚かせたり恥をかかせたりするだけにはとどまらない。あらかじめ用意されたストーリーに津田がどれだけ混乱して、どのように立ち回るかというのが見どころになっている。
視聴者は、ドラマの筋道とドッキリの仕掛けの両方を理解した上で、津田がそこで翻弄されるさまを楽しめる。単に気の毒な芸人のリアクションを見守るだけではなく、そもそも人間が与えられた状況でどのように思考して、どう反応するのか、という心理実験に近い側面も持ち合わせている。その知的好奇心を刺激する構造こそが、本企画に特有の奥行きを生み出している。
年内の「水曜日のダウンタウン」が「名探偵津田」一色になるというのは、視聴者にとっては最高のクリスマスプレゼントである。今度はどういうドラマが待ち受けているのか、目が離せない。
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