“キムタクフリース”だけじゃない!ワークマンもう一つのヒット作「転売対策で8倍増産」2,900円ウェアのスゴさ

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 ワークマンといえば、木村拓哉が着用したフリースジャケットが大人気となり、それにともない転売が相次いだことが記憶に新しい(別記事【“キムタク売れ”で「980円フリース」が売上激増 25倍の値段で転売横行も…ワークマンが「特に怒っている」理由】参照)。

 だが、昨年冬にも発売と同時に即完売し、その後、高値での転売が横行した防寒ウェアがあるという……。今年も大ヒットとなっている「XShelter」シリーズだ。

「XShelterは“温かくもなく寒くもない”に徹底的にこだわった断熱素材のシリーズ。最近の異常気象にフォーカスして、開発を進めた商品です。電車に乗っても、室内でも、外に出ても、寒暖差を気にせずに、ずっと着ていられるウェアを目指しました」

 そう教えてくれたのは株式会社ワークマンで広報を担当する松重尚志さんだ。

 XShelterは「声のするほうに進化する」をスローガンに、「お客様の要望に沿って」開発したシリーズ。最大の特長は、外部環境の影響を受けにくい断熱シートを採用した点だ。ラインナップは、昨年のモデルと同様に、断熱シートと吸光発熱綿を使った「断熱α(アルファ)」と、今年発売の冷機・暖気を遮断する機能と伸縮性が向上した「断熱β(ベータ)」という2種類の素材を使用。ジャケットをはじめ、24種類のアイテムが登場したが、現在すでに85万点が完売している。

 どちらの製品も、内側にサーモメーターを搭載し、断熱機能によって衣服内環境を「30℃~33℃ 湿度50%」に保ってくれる、という夢のような商品になっている。

 βシリーズは赤やグリーンなど華やかなカラーが増え、現場での作業服としだけでなく、通勤通学やアウトドアなど、着用シーンや好みに合わせて選択肢が広がった。

マイナス15度にも耐え、防災服にも

 実際に、人気商品の「断熱αウォームジャケット」(税込み3,900円)と「断熱βライトウォームジャケット」(税込み2,900円)を試着してみると、なにより驚くのが生地の薄さと軽さ。防寒ウェアにありがちな重さや、生地のごわつき感は一切なく、むしろ「これで本当に寒さを防げるの?」と少々心もとなく感じるほど。

 しかし、その機能性に松重さんは太鼓判を押す。

「私個人の感想としては、マイナス20度の冷凍庫の中でも寒さを感じませんでした。また40℃の暑さにも耐えられました。ワークマンとしては、“15度からマイナス10度まで対応”と推奨しています」

 優れた商品ゆえの宿命とでもいうべきか、昨年発売されたモデルでは、冒頭で触れた“キムタク着用”商品と同様の事態を招いた。だが、その辺も今年はぬかりなし。

「昨年は15万点を生産したものの即完売し、転売が相次いだXShelterですが、より沢山のお客様に着用していただきたく、シリーズの総生産量を125万点に増量。アプリでの先行予約販売も取り入れるなど、昨年買いそびれた人も確実に購入できる仕組みを整えました」

 低価格の背景には、XShelterが「防災服」としても非常に優秀な一着だという側面もあるためかもしれない。

「日本赤十字看護大学付属災害救護研究所との共同開発で、普段着がそのまま避難所での過酷な寒暖差対策として活躍できる防災服になることを想定して開発しました」(松重さん)

 ワークマンは店舗が全国に1,080店あるうえ、価格も手頃だ。

「気軽に防災対策を始めていただけるのも、ワークマンならではかと思います」(松重さん)

 この価格で、これほどの高機能と安心感まで手に入るのは、間違いなくお値段以上! しかも、細部にも使いやすさのための工夫が詰まっている。

「たとえば、ポケットが大きく、内側にはペットボトルまで入るポケットを装備しています。またファスナーは、一般的な横型ではなく『縦ファスナー』を採用し、リュックを背負っていてもモノが取り出しやすい構造になっています」

 かゆいところに手が届くさまざまな仕掛けがうれしい。実際に購入者からは「薄手なのにあったかい」「純粋にかわいい」といった声が寄せられているという。

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