「前田健太」に古巣・広島からオファーが来なかった“本当の理由” 「黒田博樹」“男気復帰”との差は“野球観の違い”か

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通用するかは未知数

 前田はメジャーでプレーしていた際も、広島に抱く特別な思いを口にしていた。球団サイドは決して悪い感情は持っていないだろう。

 ただ、シビアな視点で見ると戦力補強としてフィットしないという現実があった。黒田の場合はドジャース、ヤンキースで5年連続2ケタ勝利をマークし、メジャー最終年も32試合登板で11勝9敗、防御率3.71をマーク。同年限りで契約が切れ、ドジャース、パドレスが獲得に興味を示す中で、高額オファーを断って広島に復帰している。一方で前田は直球の球速が落ちてメジャーで結果が残せなくなっていた。今年はタイガースで救援に配置転換されたが痛打を浴びる登板が続き、5月に自由契約に。カブス、ヤンキースの3A傘下でプレーしたが、全盛期の球のキレ、制球力と比べると物足りない。残り35勝に迫った日米通算200勝達成に意欲を示していることから、先発でチャンスが多い球団の方がいい。広島は大瀬良大地、森下暢仁、床田寛樹の3本柱に加え、今季頭角を現した森翔平、玉村昇悟、高太一、常廣羽也斗と1軍定着を目指す若手たちがいる。日本球界で通用するか未知数な前田に先発の1枠を託す余裕がなかった。

シーズンで5、6勝か

 一部報道では、前田サイドが「在京球団希望」であることが報じられていた。実際に巨人、DeNA、ヤクルトが獲得に向けて調査をしていたが、スポーツ紙デスクは「残りの野球人生を考えると、一番優先すべきは先発のチャンスが多い球団と考えるのが自然です」と指摘する。
 
「楽天は2年契約の推定年俸2億円を提示しています。ある球団の編成担当は『前田の投球を米国でチェックしていたけど、日本球界に復帰してもシーズンで5、6勝が現実的な力だと思う。年俸1億円でも高く感じてしまう』と漏らしていました。巨人、DeNA、ヤクルトも同じような見方だったのでしょう」

 メジャーから古巣の楽天に復帰した同学年の田中将大は在籍4年間で20勝33敗。直球に力がないため痛打される場面が目立ち、成績が年々下降線に。昨年は1試合登板に終わり、巨人に移籍した。今季は日米通算200勝をマークしたが、10試合登板で3勝4敗、防御率5.00。投球フォームの改造に取り組んでいる途中であることを差し引いても、先発として通用しているとは言い難い。前田に対しても獲得を検討した球団が先発の座を確約できず、複数年契約を提示できないのは妥当と言えるだろう。

 復活に懐疑的な見方が多いが、楽天では先発ローテーションで期待されている。日本球界のエースとして活躍した右腕は輝きを取り戻せるか。

関連記事「広島はいくらでオファー? 『マイナーでもおぼつかない体たらく』と言われる前田健太の今後」では、前田についてのNPB球団による評価について詳述している。

デイリー新潮編集部

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