クマ駆除に暗雲の「ハーフライフル規制」に北海道では“特例”が出たが…ほかの地域では「そもそも銃でクマを駆除できるハンターが少ない」「若手の後継者もいない」現実
地元ハンターの育成が最優先
「今はクマ被害が非常事態ということもあり、警察官がライフルを使い、自衛官が後方支援を担う取り組みが実施されています。しかしクマ駆除には何よりも経験が必要です。近隣の山を深く知り、山に住むクマの現状を深く理解しているハンターだからこそ、的確な判断に基づいて猟銃を使用し、クマの駆除が実現するのです。警察官はライフルには精通していても、クマを撃った経験はありません。まして地域の土地勘など皆無でしょう」(前出の関係者)
しかも今年9月から「緊急銃猟制度」の運用が開始された。人間の生活圏にクマが出没した場合、市町村が委託したハンターなどに緊急発砲が許可される。ハンターの数が多いほど、制度の運用がうまくいくのは言うまでもない。
「クマの数を減らすためには、地元で生活するハンターを増やしていくしかありません。それを痛感している自治体の職員や首長もたくさんいます。ハンターの育成に乗り出した自治体もありあすが、いくら行政が頑張っても、『ハーフライフルは持たせられません』では最も大切なハンターの命が保証できないのです」(前出の関係者)
抗議電話とハンター育成
ただし、ハンターの数を増やすのは非常に難しいと専門家は口を揃える。その理由の一つに過剰な動物愛護を訴える抗議電話があるという。クマの駆除がニュースで報じられると自治体などに抗議の電話が殺到するのはご存知の通りだ。
第3回【1990年代からクマを駆除した自治体に「かわいそう」と抗議が殺到…“クマ愛護”がハンターの「若手確保」を妨げる決定的な理由】では、クマの駆除が「かわいそう」という世論がハンターの数を減らすという問題について詳細に報じている──。
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