「偏差値73」進学校の高校球児が「東大文一」に合格できた理由 「東大野球部」主将が明かす「25年分の過去問を最低2回は解きました」
ラストシーズンは不本意な結果に
「チームとしては勝ち点の獲得。個人的には打撃を磨いて、ベストナインを目指したい。春に積み重ねた経験と、夏の猛練習で力を伸ばした成果をグラウンドで確かめることが楽しみです」
今季はチームの主将としてチームを鼓舞した杉浦選手は、強い思いと共に学生最後の秋のシーズンに臨んだ。開幕ゲームの対早稲田大1回戦では、初回の第一打席にエースの伊藤樹投手(東北楽天2位)から本塁打を放ち、ラストシーズンに懸ける強い意気込みを見せるも、この試合の3打席目で死球を受け、右手人差し指の第1関節を骨折。続く明治大戦では代打で一時復帰を果たすも、再び離脱を余儀なくされる。
「東京大学野球部に多くの注目が集まる中、僕らが一番大切にすべきなのは、スポーツ推薦のない国立大学がリーグに属している意味を示すことだと思う。応援してくださる皆さんに感謝の思いを伝えられるようなプレーを見せなければいけない」
だが、日頃からチームにそう言い聞かせてきた主将不在の中、その思いを引き継いだ東大ナインが躍動。10月4日の対慶應大1回戦では、甲子園ベスト4左腕の松本慎之介投手(國學院久我山出身・2年)、渡辺向輝投手のリレーで今季初勝利を挙げ、スタンドで試合を見守る杉浦選手の涙も感動を誘った。
来季は社会人野球へ
25日の対法政大1回戦でも松本投手の好投で2勝目を挙げ、東大野球部は今シーズンを終えたが、杉浦選手らの思いを引き継いだ後輩たちが、来季以降はさらなる高みを目指していくことになるだろう。
「多くの観客の前で緊張しながらプレーする経験は、今後の人生ではなかなか味わえない貴重なものだったと思います」
東京六大学でプレーした4年間をそう振り返った杉浦選手は、来年からは社会人野球チームの日本製鉄かずさマジックに在籍し、都市対抗野球制覇を目指してプレーするそう。今季まで同級生の渡辺向輝投手の父、渡辺俊介氏が指揮した新天地で、最後のシーズンに味わった悔しさを晴らす。
第1回【通学時間にYouTubeを見ていたら“成績上位”に 今季2勝の「東京大学野球部」主将・杉浦海大が語る“令和の文武両道”】では、東大野球部主将の杉浦海大選手が、文武両道を確立するためにしてきた工夫や、受験を突破し、中高一貫校に入学しながら、湘南高校を受験し、入学した理由などについて語っている。
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