「偏差値73」進学校の高校球児が「東大文一」に合格できた理由 「東大野球部」主将が明かす「25年分の過去問を最低2回は解きました」
今年で100周年を迎えた東京六大学秋季リーグは、明治大学の全勝優勝で幕を下ろしたが、リーグ戦2勝を挙げた東京大学の健闘も光った。そのチームを精神的な支柱として支えたのは、主将の杉浦海大(すぎうら・かいと/21歳)だろう。
学生生活最後のシーズンは、骨折による戦線離脱を余儀なくされたが、主将の思いを受け継いだナインの活躍もあり、今季は2勝をマーク。かつて東京大学のエースとして活躍し、プロ野球の世界に進んだ宮台康平投手(2022年引退)に憧れ、同じ道を歩んできた杉浦選手に、大学受験のエピソードや、野球との向き合い方を伺った。【白鳥純一/ライター】(全2回のうち第2回)
「東京大学で野球をする」ために勉強に励んだ
中学2年生の時に、東京大学野球部で活躍していた宮台康平投手の存在を知り、その背中を追うことに決めた杉浦選手は、市立の中高一貫校に通っていたにも関わらず、宮台氏の母校である湘南高校の受験を決断。見事に合格を手にし、新生活をスタートすることとなった。
湘南高校入学後は、連日野球部の厳しい練習に打ち込んだ杉浦選手だが、中学生の時に始めた英語や数学のYouTube動画を見る習慣が功を奏し、「高校の入学前には、既に高校の学習範囲に一通り触れているような状況だった」そう。
そのせいもあり、多忙な中でも成績は常に上位をキープしていたが、「野球も勉強も、キツくて、時折つまらない努力の継続が、上達の近道ではないか」との思いから、帰宅後には、どんなに疲れていようとも参考書を開くように心がけ、通学時間には英単語帳に目を通すなど、中学生の時に思い描いた「東京大学で野球をすること」を目標に、地道な努力を続けていった。
その後、高校在学中に「暗記科目が得意で、司法試験への挑戦意欲や、弁護士への憧れを抱いた」ことを理由に文系選択を決断。多忙な日々の合間を縫うように、社会は世界史と地理の2科目。数学や物理基礎、化学基礎といった理科系科目の勉強も、自身で本番までのスケジュールを組み立てて、勉強を進めた。
合格の秘訣は25年分の過去問演習
野球においても、捕手への転向といった大きな変化のある3年間を過ごしたが、最後の夏の県予選は、この年準優勝の横浜創学館に力及ばず。3回戦敗退で野球に一区切りをつけた杉浦選手は、半年後に迫る東大受験に向けて本格的な準備を進めていった。
「引退後は自由に使える時間が増えるので、夏休みには一日12時間くらいは机に向き合い、8月頃には世界史などの暗記科目を一通り終え、少しずつ過去問の演習に手をつけ始めていたように思います」
そして杉浦選手は「合格の鍵を握る」と話す過去問演習のポイントについて、こう続けた。
「僕の場合は、秋以降に過去問の演習を始め、25年分の問題を最低2回は解くようにしていました。確かに覚えなければいけないことはたくさんありますし、授業の進度も学校によりけりだと思いますが、最初は一問一答から始めて、過去問に触れる中で知らない単語などを覚えていけば良いと僕は感じていて。情報をインプットする段階で、あまり完璧を求めすぎないことが大切なのかなと思っています」
その地道な積み重ねの甲斐もあり、夏の模擬試験でC判定だった杉浦選手の成績は、秋にはA判定に。合格を射程圏に捉えた。
「確かに良い判定が出ると安心しますが、C判定でも合格する可能性は十分ありますし、模試と本番は採点方法も異なるでしょうから、良い成績ならプラスに捉える位で良いのかなと。もし、好ましい結果が出なかったとしても、目標の達成に向けてやるべきことに変わりはありませんし、終わったことをあまりくよくよせずに、本番に向けて努力を続ける方が大切だと思います」と、本番を控える受験生にアドバイスを贈った。
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