実家侵入、玄関前に“カーネル像”、結婚指輪まで送られて…「正統派アイドル」がデビュー39年で掴んだファンとの“ちょうどいい距離”

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

ブログが築いた新しい関係

「今ではライブは年に一度。ファンクラブのイベントとしては、お泊り会や料理会、クリスマス会なんかを開いています。イベントでは歌を歌ったり、料理会では手料理を食べていただいたり、クリスマス会では私物のプレゼントをしたりしています」

 イベントの最後には夫や息子が登場することもあり、アットホームな雰囲気になる。ファンクラブの会員には全員、直筆でバースデーカードを送っている。

 また、デビュー当時からの男性ファンに加え、最近ではYouTubeやSNSを通して、若い世代や同じく子育て中のママ、美奈代さんの同世代や親世代の女性ファンも増えた。この関係性を育てたのが、彼女がいち早く始めたブログだった。

 おニャン子時代には、「ファン」と「アイドル」の間には明確な線引きがされていた。だからこそ、それを越えたい、線の先を覗き見たいという思いがファンを過激な行動に走らせていたのかもしれない。ファンとアイドルの境界線をやわらげたのが、ブログの存在だ。

「上の子が小学生の頃にブログを始めたんです。家にいながら、育児をしながら“自分を発信できる場所”ができたのは大きかったですね」

 結婚や出産を経ても活動を続けるアイドルがまだ少なかった時代。家庭と仕事を両立する姿を発信することで、ファンにも“同じ生活者”としての共感が生まれた。

「みんなと同じように料理や家事、子育てをしている姿を見せることで、特別な人間じゃない、“ご近所の人”のような感じで受け止めてもらえたんじゃないかな」

 美奈代さんの自然体の発信が、遠い存在だったアイドルを「生活を共有できる存在」へと変えた。そして、家族ぐるみでファンと歩む関係が次第に形づくられていく。

 ***

 距離感が近すぎるファンと美奈代さんだったが、結婚・出産、そしてブログ発信を機に、少しずつその関係性に変化があらわれる。【記事後編】では、世界も注目する「オタ芸」のルーツが美奈代さんのファンにあったことが明かされる。

取材・文/安川ヤス子

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。