実家侵入、玄関前に“カーネル像”、結婚指輪まで送られて…「正統派アイドル」がデビュー39年で掴んだファンとの“ちょうどいい距離”
【前後編の後編/後編を読む】「“オタ芸”は私のファンが発祥」…デビュー39周年の正統派アイドルが明かす「ファンと築いた絆の歴史」
デビューから39年。おニャン子クラブ時代から「正統派アイドル」として第一線を走り続ける渡辺美奈代さん(56)は、現在もファンミーティングやバースデーライブを欠かさない。驚くのはライブ中、彼女が数多いファンの1人1人の名を呼び、気さくに声がけをしていることだ。
最近では、アイドルとファンの「距離の近さ」が思わぬトラブルを生むこともある。そんな時代にあって、美奈代さんは39年にわたり、ファンと「信頼でつながる距離」を保ち続けてきた。結婚、出産を経てもなお愛され続ける理由とは何か。本人に聞いた。
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80年代の距離感
1985年にオーディションに合格し、会員番号29番としておニャン子に加わった美奈代さん。翌年に加入した渡辺満里奈さんとともに、「Wワタナベ」として注目され、収録に登場すると歓声で進行が止まることもあったそう。一方で、人気者ゆえの強烈なエピソードの数々を持っていて……。
「昔はオートロック付きのマンションなんてなかったので、家を出ようとドアを開けたら、玄関先にファンの方が立っているなんて日常茶飯事でした。住んでいたマンションの屋上にファンが住んでいたこともあったくらいです」
ストーカー事件になりうるような、80年代アイドルとファンの距離。美奈代さんがラジオで「あのケンタッキーフライドチキンのおじさんが可愛い」「ペコちゃんが好き」などと話せば、翌日には玄関に、カーネル・サンダース像やペコちゃん人形が置かれていたという。
「いちばんびっくりしたのは、家を引越したとき。事務所が用意した住まいだったのですが、私にさえも知らされていなかった入居先に着いたところにファンが待っていたんです。そのときばかりは、思わずマネジャーさんを疑いました(笑)。携帯もSNSもない時代、どうして新居を知ったのか、いまだに不思議です」
実家の住所もファンの間で広く知られており、なんと両親に無断で侵入し、トイレを使ったファンもいたそう。
「当時、ファンの間でわりと堂々と売られていたんですって。“電話番号は1万円、住所は5000円”みたいな感じで」
伝説のプレゼント
恐怖体験としか思えない話を笑顔で語る美奈代さん。また、家の住所を知らない(?)ファンからは、事務所やテレビ局あてに“サプライズなプレゼント”が届けられたことも。
「妻の名前のところだけ空欄の、婚姻届と結婚指輪が送られてきたことがありました。さすがに指輪が高価すぎて、スタッフが送り返していたと思います。もっと衝撃的だったのは、45リットル入りのゴミ袋2つ分のインナー類。なんでゴミ袋かはわからないけど、もしかしたらテレビ局の人が開封して入れてくれたのかな? さすがに驚いて、よく覚えています(笑)」
今では「事件」になりそうな、すさまじいファンの熱量だ。10代の少女はそれを受け止め切れたのだろうか?
「当時、“アイドルとはそういうものだ”と聞かされていました。他のみんなもそうなんだ~って思っていたから、別に怖いと感じたことはなかったですね」
危うさと熱狂が紙一重だった80年代を経て、彼女は「信頼でつながる距離」を少しずつ築いていった。
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