5億5000万円「山下美夢有」が賞金ランク3位 「日本勢7名」が“ミリオネア”の米女子ゴルフ、来季の賞金総額アップでもっと“リッチな職場”に

スポーツ

  • ブックマーク

来季はアジア連戦が1試合減だが

 男子ゴルフのメジャー大会は4つだが、女子ゴルフのメジャー大会は5つある。シェブロン選手権の開催コースがどうなるのかという不安はあるが、他の4大会に関しては、何ら問題点は見当たらず、どんなチャンピオンが誕生するだろうかと、期待が膨らむばかりである。

 6月には、シーズン2つ目のメジャー大会となる全米女子オープン(6月4~7日)がカリフォルニア州ロサンゼルス郊外のリビエラCCで開催され、その3週間後にはKPMG全米女子プロ選手権(6月25~28日)がミネソタ州チェスカのヘーゼルティン・ナショナルGCで行なわれる。

 7月にはアムンディ・エビアン選手権(7月9~12日)がフランスで、7月下旬から8月にかけてはAIG全英女子オープン(7月30~8月2日)が英国ロイヤル・リザム&セント・アンズGCで開催される予定だ。メジャー大会ラッシュとなる夏場は、選手にとっても、応援するファンにとっても、すこぶる熱い夏となる。

 そして、季節が秋に変わるころからは、アジアでの連戦となる。今季は中国、韓国、韓国、マレーシア、日本の順で移動していく5連戦だったが、来季は韓国開催が1試合減るため4連戦となる。

 ケセラー氏は今年のアジア5連戦の現地における盛り上がりぶりを初めて眺め、すでにアジアに広がっているゴルフ熱を、大いに活用すべきであることを実感したという。

 それなのに、来季は期せずしてアジア連戦が1試合減となってしまったことは、なんとも残念だが、「一気には変えられない」「徐々に変えていく」というケセラー氏の言葉が現実化されることを待ち望んでいる。

賞金総額は300万ドルアップ

 さて、話を「マネー」に戻すと、2026年シーズンの賞金総額は、今季より300万ドル(約4億6700万円)増の1億3200万ドル(約205億6200万円)となる。試合会場や試合数では不安要素や不確定要素がある中で、これだけの賞金アップを実現させたケセラー氏の手腕は大したものである。

 1億3200万ドルの内訳を見てみると、メジャー5大会の賞金合計が、ざっくり5000万ドル(約77億9200万円)で、ノン・メジャー(メジャー大会以外)の26大会の賞金合計が8200万ドルとなる。

 この数字をもう少し噛み砕いて見てみると、メジャー5大会の賞金額とノン・メジャー大会の賞金額には、とても大きな差があることがわかる。

 ノン・メジャー大会の1試合の賞金総額は、200万ドルから400万ドルぐらいの範囲内であるのに対し、メジャー大会の賞金総額は、シェブロン選手権とエビアン選手権が800万ドル(約12億4700万円)、全英女子オープンが975万ドル(約15億1900万円)、そして全米女子オープンと全米女子プロ選手権は1200万ドル(約18億7000万円)。合わせて4975万ドルとなる。

 女子ゴルフの世界において、こうした数字は、どこからどう見ても、きわめて「バブリー」である。

とても良き職場環境

 ケセラー氏も「とても誇らしく思っている」と胸を張り、今後の見通しについても「とてもワクワクしている」と興奮を隠せない様子である。

 ちょっぴり気になるのは、米LPGAとサウジ・ゴルフとの関係性だが、男子ゴルフ界のようにサウジのゴルフ勢力を毛嫌いする声は、米LPGAの関係者や選手からほとんど聞こえてこない。むしろ「お金は必要なのだから、お金を出してくれる人やモノは、ウエルカム」と歓迎する声のほうが強い感がある。

 サウジ・ゴルフににじり寄ることで問題が出てくるとすれば、タイトル・スポンサーになっている米国企業やタイトル・スポンサー候補の米国企業、そして米国民やゴルフファンが、そうした傾向にどんな印象・意見を持つかという点である。

 ともあれ、米LPGAは多少揺れ動きながらも、まだまだ拡大成長していきそうな気配であり、世界の舞台を目指す日本勢が戦う場所としては、当面は「とてもリッチで、とても良き職場環境」と言えそうである。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。