「不当解雇だ」と大激怒も…球界を騒然とさせた情け容赦ない“大量解雇劇”
5位・西武に7ゲーム差の最下位に沈んだロッテが今オフ、石川歩、荻野貴司、澤村拓一、国吉佑樹、二木康太ら実績のあるベテランや中堅選手を相次いで解雇し、“血の粛清”と話題を呼んだ。そして、過去にもプロ野球界では情け容赦ない「大量解雇劇」が一度ならずあった(文中の金額は推定)。【久保田龍雄/ライター】
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ひょっとしてクビになるかもしれないよ
まず真っ先に思い出されるのが、FA制度がスタートした1993年オフの横浜である。
11月8日に高木豊、屋鋪要、山崎賢一、市川和正、大門和彦、松本豊の主力級6選手に戦力外通告を行い、世間を驚かせた。
横浜は11月1日にも鴻野淳基ら5人を解雇したばかりで、この時点の退団者は引退する斉藤明夫、長内孝を含めて大量13人に上った。
13人の年俸総額は3億8400万円余り。うち通算128勝133セーブを記録した斉藤には功労金2000万円が支払われるので、差し引くと約3億6000万円となり、FA宣言した巨人・駒田徳広の獲得資金とほぼ一致した。
こうした事情から、スポーツ紙には「FAの悲劇」の見出しが躍り、高木とともにFA権を取得しながらクビを切られた屋鋪は「悔しい。ゴミ箱にゴミをポイと捨てるようなものだ。球団は僕のことを功労者と認めていないんだよ。引退試合もない。功労金もない。不当解雇と言ってもいい」と涙ながらに不満をぶちまけた。
一方、高木は自著「オレだから言えるプロ野球・奇想天外の舞台ウラ」(スコラ)の中で、戦力外通告を受ける前日、親しい新聞記者から「ひょっとしてクビになるかもしれないよ」と知らされていたことを明かしている。
前年オフ、契約交渉がこじれ、年俸調停の末、球団の提示額より510万円多い9840万円を勝ち取った高木だったが、この一件が尾を引いて、右膝を痛めて出場機会が激減した屋鋪とともに整理対象になったと推測される。
近藤昭仁監督は「高木と屋鋪は大洋のイメージ。チーム名も変わったし、そのへんの犠牲になった」と説明したが、屋鋪は11月14日に出演したスポーツ番組の中で「それなら(横浜に変わった)去年でも良かった。言い訳ですね」と反論している。
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