大谷翔平はWBCで「二刀流」を披露するのか? 識者が「投げるべきではない」と断じる理由…「プエルトリコ代表を参考に“国内組”をしっかり準備させたほうがいい」
第1回【WBC出場「大谷翔平」の起用法に議論が白熱…侍ジャパンの活躍を左右する「打者大谷」にとって最も注目すべき“2文字”】からの続き──。メジャーリーグ(MLB)ドジャースの大谷翔平は日本時間の11月25日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場を発表した。(全2回の第2回)
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投打の二刀流で出場するのか、それとも打だけの“一刀”なのか、大谷にも分かっていないようだ。担当記者が言う。
「大谷選手は日本時間の11月26日、報道各社のオンライン合同インタビューに応じました。その中で大谷選手は自身の起用法について『まだ分からないというかコミュニケーションをとらないといけないので、何とも言えないです』と答えたのです。要するに現在は白紙の状態なのでしょう。大谷選手は『何通りかプランは持っておくべきだと思う』と言い、二刀流のパターン、一刀流のパターン、様々な可能性を見据えて準備する考えを明らかにしました」
これにMLB研究家の友成那智氏は「大谷選手はWBCで投げるべきではないと思います」と警鐘を鳴らす。
「WBCは日本代表の場合、3月5日の台湾戦が初戦です。投手は例年のシーズンより早く調整する必要が生じます。打者より投手のほうが調整は大変ですから、スケジュールの前倒しは投手にとって相当な負担になります。事実、大谷選手は2023年のWBCを二刀流で日本代表を牽引し、チームを世界一に導きました。しかしその代償は大きく、8月に右肘の靱帯の損傷が発覚します。結果、投手としての登板は不可能となり、翌9月に2回目となるトミー・ジョン手術を受けることになりました。このように大谷選手はWBC後に苦労した経験がありますから、ドジャース側だけでなく大谷選手自身が『WBCでは投球せず、打者に専念したい』との意向を日本代表に伝えても不思議はないと思います」
プエルトリコの意外な作戦
大谷投手が抜けた日本代表は投手力が低下し、勝ち進めないかもしれない──こんな不安に襲われるが、友成氏は「それほど短絡的な話ではないと思います」と言う。
「ここで注目したいのがプエルトリコ代表です。人口が約320万人という小国ですが、野球熱は高く、WBCでも常に上位を伺うチームです。監督はMLB屈指の名捕手、ヤディアー・モリーナ氏が務めています。このチームの面白いところは、マイナーリーグの新人投手を代表に抜擢し、育て上げて成果を出しているところです。MLBの投手は所属チームがWBCに理解がないことが多く、短い調整期間で実戦のマウンドに立たなければなりません。調子が上がらない投手も多く、そのためWBCは“投低打高”の傾向が認められます。プエルトリコはこれを逆手に取りました。マイナーリーグの新人投手ならWBCに焦点を合わせてもチームから文句をいわれません。名捕手だった代表監督が新人投手を手取り足取り指導して鍛えるのです。そして、このアプローチは日本代表も採用しやすいのではないでしょうか」
日本人なら誰もがWBCで代表が活躍することを願っている。プロ野球の調整に多少影響が出ても許容するファンも多いだろう。
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