西武の生え抜きレジェンド「栗山巧」が引退表明…2000本安打達成でもイケメンぶりでもない、ファン感涙のエピソード「球団史上最高の四球」とは
ファンを大切にするレジェンド
埼玉西武ライオンズの栗山巧(42)が11月24日に記者会見し、プロ25年目の来季を「締めくくりのシーズン」とすることを表明した。
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この日の午前9時半すぎ、球団から「午後3時半に、公式YouTubeで緊急配信」との通知があり、多くのライオンズファンは「すでに引退報道が出ていたので、栗山のことか……」と予想していたという。
2001年ドラフトの4巡目で指名を受け、翌02年、ライオンズ入団。当初は田辺徳雄・現3軍野手コーチ(59)の指導を受け、08年に最多安打のタイトルと共に日本一にも貢献した。チームの顔として活躍してきた栗山には、レジェンド選手に相応しい、数々のエピソードがある。
「2010年5月5日の楽天戦。試合前に選手がスタンドのファンにボールを投げ入れるのですが、ボールを取ろうとした子どもから、ボールを取ってしまったファンがいたようなんです。試合は栗山さんが試合を決める第1号本塁打を打ち、ヒーローインタビューを受けたのですが……」(50代のライオンズファン)
アナウンサーから「今日は子どもの日。子どもたちにメッセージを」と言われ、「ちびっ子ファンの諸君、将来のプロ野球選手です。しっかり練習して同じフィールドで野球やりましょう!」と答えると、球場から歓声と拍手が起こる。しかし栗山は、アナウンサーからマイクを取り、「そしてー」と声を大きくして、こう続けた。
「ファンの方に一つお願いがあります。ボール投げ入れの時にですね、大人の方がわーっといってしまうと、将来のプロ野球選手たちがけがをしてしまうおそれがありますんで、大人の人たちがボールを取りに行くのはファールボールのみ、しっかりキャッチしてください。選手の投げ入れは子どもにぜひ、ゆずってあげてください」
「とにかくファンを大切にする選手ですが、子どもには本当に優しい。以前のファン感謝デーでは、観客が退場の際に選手とハイタッチできる機会がありまして、栗山さんは小さな子どもでもしっかり相手の目を見て、そして笑顔でタッチしてくれました」(同)
ただでさえ、端正な顔立ち。女性ファンにはたまらない瞬間だっただろう。
別の40代ライオンズファンは、キャプテンを務めていた時の栗山の姿が忘れられないという。
「2014年10月2日、日本ハムとのシーズン最終戦でした。先発の牧田和久(41・現ソフトバンクコーチ)が2回に7失点して降板するのですが。レフトを守っていた栗山さんは、一目散にマウンドまで走ってきて、内野陣の輪に加わり、檄を飛ばしていました。ライオンズはその裏に7得点で同点に、結果的に試合にも勝ちました」
プロ通算成績は2312試合で2150安打、打率2割7分7厘。2021年には2000本安打を達成しているが、2塁打の歴代記録では25年シーズン現在、巨人・坂本勇人(36)の469本に次ぐ、406本(ちなみに3位は、栗山のチームメイトで同級生でもある中村剛也の361本)。そして通算本塁打は128本で、打点は914。勝負強いバッティングで知られる栗山も、今季は11試合の出場にとどまり、2安打、打点ゼロとなった。ラストイヤーとなる栗山に、多くのファンが期待するのはやはり打棒だろうか。
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