吉瀬美智子(50)の「恋愛現役」宣言にモヤモヤしてしまう理由 アラフォー・アラフィフ女優に吹く「生々しさ」の逆風
かつては「憧れ」でも……いまは「リアル過ぎる」「生々しい」という反応へ
ある程度年を重ねたシングルマザーが新恋人の存在を明かすと、「今度こそ頑張ってほしい」とか「大人の女性の恋って素敵」という声が上がったのは昔のこと。昨今は、世間がその「恋の温度」に妙にシビアだ。
例えば、新山千春さん。マッチングアプリで出会った14歳年下の恋人がいるという報道が出た時、祝福よりも困惑のコメントが多かったように思う。出会った当時、新山さんの娘さんは12歳。多感な年頃の少女にとって、母よりも自分と年齢の近い男性が近くにいることのストレスを心配する声もあった。現在はめでたくゴールインしたものの、今度は「妊活中」と明かした新山さんに対して「娘さんはどう思っているのか」「モヤモヤする」という声がSNSで散見された。
また、若い頃のはつらつきれいめお姉さんというイメージから、「美魔女」路線にシフトした長谷川京子さんに対しても厳しい声は投げかけられがちだ。つややかなメイクと華やかないでたちで恋愛話を語ると「ちょっと生々しい」「そういうキャラとして求めてない」といった反応がついて回る。
ここには、アラフォー・アラフィフ女性に課せられる社会的役割への過剰な期待が透けて見える。「母」という属性を強調しがちな日本の空気が、女性の「恋愛現役」モードと微妙にかみ合わなくなっているのだ。
そうしたタレントイメージのズレは吉瀬さんにも当てはまる。「酒のツマミになる話」での少し崩れた酔い姿は、男性からは「かわいい」「ああいうギャップは刺さる」と称賛された一方、女性の反応は総じて辛めだった。ドラマで築いた知的で上品なイメージと、バラエティー番組で見せる「素」のテンションがあまりに離れていることで、「ギャップ萌え」よりも「ギャップ萎え」を招いてしまったのではないだろうか。
さらにシングルマザーの恋愛に対する世間のまなざしは、無意識に「娘の視点」を含みがちだ。相手が年下男性だと、「娘と年齢が近いのでは?」と、視聴者の脳内で余計な想像が生まれてしまう。恋愛をしているだけなのに妙に生々しく感じられてしまうのは、女性の年齢ではなく、視聴者の「家族フィルター」の問題なのかもしれない。
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