「高市政権」支持率70%超でも…なぜ「円安」が急激に加速するのか 「1ドル=160円」が現実味を帯びる理由
急速に円安が進み、金融関係者だけでなく多くの国民からも不安の声が上がっている。11月14日は1ドル154・4円だったのが一気に上昇し、11月20日には157・5円に達した。Xを見ると《通貨暴落で国家は破綻するが、通貨高で破綻した国家はない》との投稿が目に飛び込む。他にも《一番の物価高対策は円安の是正(円高)》、《一部でも良いからドルで給料もらえないかな》、《円の価値は低い、物価は高い賃金は低いとなってくると日本人が貧乏になるだけ》──という具合だ。(全2回の第1回)
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片山さつき財務大臣は11月21日、閣議後の記者会見で円安に関して「非常に一方的で、また急激であると憂慮している」と強い懸念を示した。記者が為替介入の可能性を質問すると、「9月の日米財務相のペーパーにはしっかりと介入も入っている。当然、考えられる」と答えた。
ただし市場関係者からは「介入する雰囲気を全く感じない」という声も出ている。たとえ介入を実施したとしても効果は一時的なものにとどまるとの予測も多い。
担当記者は「『円安なら企業業績は伸びる』という意見もありますが、少なくとも消費者にとって今の円安が続けば生活苦の原因になり得ます」と言う。
「11月14日、農林水産省はコメ5キロのスーパー平均販売価格が4316円に達し、過去最高を記録したと発表しました。円安が進むとコメ栽培に必要な肥料や農薬の価格も上昇します。さらに多くの消費者が高価なコメの代わりに安価な輸入パスタを購入していますが、それも円安が続けば値上げは不可避でしょう。物価が上昇しても賃金がそれ以上に上昇すれば希望は持てます。しかし11月6日に厚生労働省が発表した『毎月勤労統計調査』の9月速報値によると、実質賃金は前年同月比で1・4%の減少となり、増加率は9カ月連続のマイナスとなりました。物価高に賃金の上昇が追いついていないことが分かります」
円安の原因は高市首相なのか
一体、いつからこれほど急激な円安が始まったのか──データを確認すると「高市早苗氏が自民党総裁に選ばれてから」ということになる。
9月7日、当時首相だった石破茂氏は自民党総裁を辞職する意向を示した。翌8日、1ドルは147・5円。自民党総裁選が告示された9月22日は147・7円。そして高市早苗氏が総裁選に勝利したのは10月4日のことだった。
その翌日、10月5日から一気に円安が進む。10月8日には1ドル152・6円となり、読売新聞は夕刊1面に「円安8か月ぶり152円台 総裁選後 4円超下落」との記事を掲載した。
読売新聞は高市氏が総裁に選ばれた4日の記者会見で「金融政策も責任を持たないといけないのは政府」と発言したことに注目。《日本銀行の早期利上げ観測が後退したことで日米の金利差が改めて意識され、円が売られやすくなっている》と伝えた。
10月13日からは少し円高に振れ、17日には150・5円まで戻した。ところが再び円安基調に変わり、高市氏が首班指名選挙で第104代首相に選出された10月21日には151・8円に上昇した。
その後は基本的に右肩上がりで円が安くなり、11月21日には1ドル156・4円。高市首相が10月4日に自民党総裁選に勝利したが、直前の3日が147・2円だったため、何と9・2円も円安が進んだことになる。
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