高市首相の“指示書”で注目 広島型原爆にも耐えられる「1億円核シェルター」のナカミ
170の企業や個人が入会
地上に突き出した入り口から階段を降りると厚さ20センチのコンクリート製の扉が見えてくる。重さは1トンだ。開けるとひんやりした小部屋がそこに。アルファ化米やミネラルウォーターなどの非常食がずらりと並べられ、トイレもある。奥には、もう一つ扉があって、その先のスペースが人の滞在する空間だ。広さは約25平方メートルほど。壁には、大きな換気装置がついている。定員は7.5人だという。核シェルターのモデルルームだ。
【実際の写真20枚】ふつうに暮らせそうな「1億円核シェルター」の内部
〈他国の核実験計画を受けて、アメリカも同レベルで核実験を始めるよう国防総省に指示した。直ちに開始されるだろう〉
トランプ米大統領がSNSにそんな書き込みを行ったのは、10月30日。これに対してロシアのプーチン大統領も〈核兵器実験の可能性に関する提案を起草するよう政府高官に指示〉するなど、世界ではにわかに緊張が走っている。
一方、わが国では高市首相が閣僚に対する指示書に、ようやく「地下シェルターの整備に取り組む」の文言を入れたばかり。それもあってか、茨城県つくば市のNPO法人「日本核シェルター協会」には、問い合わせが相次いでいる。核シェルターを作る際のコンサルティングを行う団体で、冒頭のモデルルームを保有するのが同法人だ。現在、約170の企業や個人が入会している。
世界最高のスイス基準
そもそも核シェルターとは、どのようなものなのか。
協会の事務局次長の奈良好紀氏が言う。
「核攻撃を受けると、まず爆風と高温の熱線が襲ってきます。地上の施設ではこれを防ぐことが難しく、コンクリートの部屋を地下に造らなくてはなりません。さらには人体に重大な被害を与える中性子線も飛んでくる。シェルターが地下にあると土中やコンクリート中の水分(H2O)が中性子線をブロックしてくれるのです」
核攻撃では放射性物質も降りかかってくる。
「その場合、外気が直接入ってきてはいけないので、フィルター付きの特殊な換気装置が必要です。ここに置いてあるのは、スイス製のものです」(同)
奈良氏によると、モデルルームは、世界で最も核シェルターの整備が進んでいるスイスの基準で造られているという。広島型と同威力の原爆で攻撃された場合、投下地点から800メートルより外なら耐えられる構造だ。
肝心のお値段はというと、
「モデルルームのタイプだと8000万~1億円です」(同)
眺めは絶望的だが、都心のタワマンよりは少し安い。見栄より命が大事なら検討してはいかがだろうか。





















