捜査1課ではなく“広報課”が舞台の「異色すぎる警察ドラマ」 フジ「東京P.D. 警視庁広報2係」成功のカギは“警察広報の奮闘を描いた傑作”
フジの初挑戦
今作でフジは、3つの「初挑戦」を行っているという。
1つ目は、複数の脚本家が集まり、作品全体のストーリーや各話の構成などを共同で執筆する「ライターズルーム方式」を全話で採用している。
2つ目は、広報課が舞台となる連続ドラマを初めて制作。他の民放キー局のドラマでも、広報課が舞台で話題になった連続ドラマといえば、航空自衛隊の広報室を舞台にした新垣結衣(37)主演のTBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」(13年)ぐらいだった。
3つ目は、フジの動画配信サービス・FODとの共同制作で、地上波×配信のコラボレーションに挑戦。Season1として26年1月クールで地上波ドラマとして放送後、FODで、season2の独占配信を行うことが決定している。要はこれまでであれば、地上派で26年4月期以降のクールでseason2を放送していたところを、視聴者の感動の余韻が冷めやらぬうちにFODで新seasonを放送するというから、すでに、そちらの撮影にも取りかかっているようだ。
「放送される火9のドラマ枠は、24年の10月改編で15年4月以来9年半ぶりの復活となりました。以後、今期まで放送された5本中、4本が刑事ドラマですが、視聴率は伸び悩んでいます。おまけに、FODは登録者数が伸び悩んでいるので、“起爆剤”としての役割も期待されているようです。そんな状況もあって、大胆な挑戦となったようですが、複数の脚本家がいることにより物語がブレブレになってしまうリスクも少なからずあります」(フジテレビ関係者)
視聴者にはあまり知られていないことだが、警察広報が何から何まで情報を公開することはなく、事件報道の大部分は、広報課を経由せずに、記者の独自取材をもとに成立する要素が多い。普段は決して表に出ない事件報道の裏側をどこまで描くのか、そして視聴者を惹きつけるのか……警察広報を描いた作品で、今回のドラマが大いに参考・目標にすべき名作がある。
「NHKではピエール瀧さん(58)の主演でドラマ化され、映画は佐藤浩市さん(64)が主演し前後編が上映された『64(ロクヨン)』以外にありません。ミステリーの名手で地方紙の警察記者経験もある横山秀夫さんの原作です。舞台はある地方の県警ですが、横山さんの取材経験を大いに生かし、広報としての業務、記者たちとの対峙、県警内の権力争いなど、非常に濃厚な人間ドラマが描かれています。警察広報は独特な職場です。『64』のように深く踏み込まないと、視聴者も満足しないはずです」(映画担当記者)
あの名作を超えるか…
「64」は、わずか7日間で幕を閉じた昭和64(1989)年に、舞台の県警管内で少女が誘拐され、殺害される事件が起こるも、身代金は奪われ犯人は逮捕できないままに。県警内では、その事件を「ロクヨン」という符丁で呼び解決を誓うが、遺族に吉報がもたらされないまま時は過ぎてしまった。
瀧と佐藤が演じた主人公・三上義信は、「ロクヨン」の捜査に加わったベテラン刑事。それから10年以上が経ち、三上は警務部への異動を命じられ、記者クラブへ対応する広報官に任じられた。だが、ある事件への対応がきっかけで県警担当の記者たちと対立。その解決に苦心する中、徐々に「ロクヨン」に関する闇が明らかになり、ついには「ロクヨン」を模倣したと思われる事件が起こるのだった。
「三上は部下たちとのあつれきや担当記者たちとのバトルを抱え、事なかれ主義の上司たちにイライラを募らせながら、プライベートでは父に似た顔にコンプレックスを抱える娘が家出したままという苦悩にまみれた役どころです。にもかかわらず、刑事経験を生かして捜査車両に乗り込み、大荒れとなった会見をサポートしつつ、事件の解決にひと役買います。新ドラマでは、福士さんは所轄、緒形さんが元捜査一課のキャリアを、どう広報の業務に生かすかが注目されますし、まだ発表されていない共演者の顔触れも気になるところです」(同前)
佐藤主演の映画「ロクヨン」は前編が16年の5月に公開され、興行収入は19.4億円、後編が6月に公開され、こちらは17.4億円を記録。瀧が主演のドラマ版は4月から5月まで5週にわたり放送されたが、「第70回文化庁芸術祭賞」のテレビ・ドラマ部門で大賞、「第53回ギャラクシー賞」のテレビ部門で選奨を受賞。そのクオリティーの高さかうかがえる。
時代は令和、テレビの視聴者離れが進む中、福士主演の新ドラマに期待が高まるばかりだ。




