巨人・泉口友汰、楽天・中島大輔、ロッテ・寺地隆成…ドラフト下位指名の“新星”はなぜブレイクできたのか? スカウト陣は「予想できなかった」
毎年多くの“新星”が登場するプロ野球界。今年特に目立ったのは、シーズン前の期待がそれほど高くなかった選手や、プロ入り時の評価が低かった選手の活躍だ。その代表例は、2年目でレギュラーに定着した巨人の泉口友汰である。【西尾典文/野球ライター】
対応力が高かったのかもしれない
開幕一軍入りを逃したものの、4月4日に一軍に昇格し不振の門脇誠に代わってショートの定位置を獲得した。夏場に少し成績を落としたが、最後まで広島の小園海斗と首位打者争いを演じ、セ・リーグ2位となる打率.301をマークする活躍を見せた。
高校球界きっての強豪である大阪桐蔭出身で、3年生の時には春夏連続で甲子園に出場した。青山学院大への進学後、チームは当時、東都大学リーグの二部に低迷していたが、早くから遊撃手のレギュラーの座をつかみ、3年秋にはMVP(二部)に輝くなど、チームの一部昇格にも大きく貢献した。大学卒業後は社会人野球の強豪であるNTT西日本に入社。2年目の2023年、巨人からドラフト4位で指名され、プロ入りを果たした。
経歴を見ると、順風満帆な野球人生に見える。しかし、指名順位は4位であり決して高くはない。後日スカウトに聞いた話によると、ドラフト会議前、泉口に対して調査書(会議前に球団が選手に提出を求める書類)を送っていた球団は、巨人と楽天のみだったという。
泉口に対する評価が低かった理由について、他球団のスカウトは以下のように話した。
「大阪桐蔭のショートのレギュラーだったので、当然、高校時代から彼の存在は知っていました。最も評価されていた点は守備ですね。派手なプレーをするわけではありませんが、堅実さが際立っていました。ただ、プロとして勝負するとなると際立った“武器”と言えるものがなかった。それが正直な印象ですね。ミート力はあるものの、抜群というほどではなく、長打力があるわけではない。足も遅くはないですが、プロ野球の二遊間を守る選手としては、ごくごく普通です。正直なところ、入団2年目でレギュラーとなり、打率3割に達するとは全く思っていませんでした。今思えば、社会人野球でも1年目から違和感なくプレーしていたので、対応力が高かったのかもしれませんね」(関西地区担当スカウト)
2023年のドラフト会議直後、筆者が巨人の水野雄仁スカウト部長に対して、泉口について尋ねた際、「大阪桐蔭、青山学院大、NTT西日本といった強豪チームで、常にレギュラーでプレーしてきた点も評価したポイントだった」と語っていた。高いレベルのチームで揉まれてきたことが、プロでも通用する対応力につながっていると言えそうだ。
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