「少子化」「娯楽の多様化」だけじゃない「スーパー戦隊」シリーズ終了の裏側…そもそも「1年で買い替えるオモチャ」は時代に合わなくなったのか

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地方のおもちゃ屋の閉店とマンネリ化

 また、地方都市からおもちゃ屋の数が激減していることも無視できないのではないか。商店街にあった個人経営の小さなおもちゃ屋が消滅していることを、実感している人も多いだろう。子ども向けの玩具は実物を手にして買うケースも多いはず。小売店が減少したぶん、購入の機会が失われていることは間違いなさそうである。

 また、長期シリーズ特有のマンネリ化も深刻であった。

「近年は過去の戦隊を振り返るようなマニア向けの内容も見られ、現在の『ゴジュウジャー』もそういった要素が含まれていますが、さすがに子どもには受けないと思います」

 そう話すのは、前出の業界関係者である。

「スーパー戦隊は、今や3世代で視聴する家庭も多い長寿コンテンツです。全話を通して過去の戦隊とのコラボが大々的に行われたのは、『海賊戦隊ゴーカイジャー』でしょう。スーパー戦隊の35作目を記念した内容で、過去作に出演した俳優が出演するなど、大きな話題になりました。

 過去作品とのコラボは、確かに親子が会話をする糸口になることも期待できますが、よほどシナリオを工夫しないと子どもが食いつかないと思う。『仮面ライダー』や『プリキュア』シリーズもマンネリに陥っているといわれますが、過去に成功したひな型に頼るのではなく、新しいコンテンツを考える時期に差し掛かっていると感じます」

俳優が突如降板し、前途多難

 ところで、スーパー戦隊シリーズの終了はまだ公式がアナウンスしたわけではないが、シリーズが前途多難であることは間違いない。11月8日、「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」にゴジュウユニコーン/一河角乃役で出演している女優の今森茉耶が、20歳未満にもかかわらず飲酒していたという理由で、降板を発表した。

 今森は9月に「週刊文春」で二股交際疑惑が報じられたばかりだった。唐突な“飲酒”を理由にした降板は、ヒーローに変身する役だけに、子どもたちへの影響を考えると絶対にあってはならない不祥事であった。

「過去に、俳優が“失踪”した影響で、メインのキャラクターが絶命した戦隊もありました。最後になる可能性が高い作品なのにこんな不祥事が起きるとは、不吉としか言いようがありません」(前出の業界関係者)

 スーパー戦隊シリーズの終了で危惧されるのは、何よりも子どもたちが楽しめるテレビ番組がまた一つ減少してしまうことだろう。原点に立ち返り、子どもが楽しめる番組を製作してほしいと願ってやまないのであるが……。

ライター・宮原多可志

デイリー新潮編集部

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