また“大型補強”か…「前田健太」「則本」「松本剛」を狙う阿部巨人 OBは「補強がチグハグ」「若手の成長機会を奪う」

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阪神との差は

 昨年こそリーグ優勝を果たした阿部巨人だが、今年は阪神に独走を許してV逸。その阪神には、直接対決で8勝17敗と圧倒された。フロントが大きな差を痛感させられたのが先発陣だ。阪神は最多勝を獲得した村上頌樹、最優秀防御率を獲得した才木浩人を筆頭に、デュプランティエ、大竹耕太郎、高橋遥人、伊藤将司、伊原陵人と質、量共に12球団屈指の陣容をそろえる。一方の巨人でシーズンを通じて稼働したのは11勝をマークした山崎伊織のみ。戸郷翔征は勤続疲労が懸念されるほど直球に球威を欠き、春先から痛打を浴びる登板が目立つ事態に。2度のファーム降格を経験するなど規定投球回数に到達できず、8勝9敗と負け越した。グリフィンも故障が多いのがネックで14試合登板にとどまった。先発ローテーションで期待された井上温大も20試合登板で4勝8敗、防御率3.70と期待外れの結果に。先発の強化が急務になっている。大型補強の敢行を狙う戦略は理解できる部分もある。

 ただ、他球団の投手コーチは巨人の投手陣について違った見方を示す。

「内部事情が分からないのでなんとも言えませんが、井上は投げる球を見ればエースになれる投手です。多少打ち込まれても先発で起用し続ける価値がある。今年思うようなパフォーマンスを発揮できなかったのは技術面より、精神面が原因のように感じます。打たれていることを怖がっているような印象がありましたね。身長190センチ左腕の横川凱はエースとして活躍した内海哲也(現巨人1軍投手コーチ)と重なります。先発、救援と色々な役割で投げていますが、先発に固定して投げれば2ケタ勝利を十分に狙える。赤星優志、森田駿哉もファームで投げるレベルの選手ではないですし、巨人の若手は他球団に比べて能力の高い投手が多いと思いますよ」

Bクラス転落の可能性も

 若手が一本立ちするためには我慢を必要とする。常勝軍団の宿命を背負っているため、巨人の場合は長期的視野の育成は難しいかもしれない。だが、内海、戸郷も若手の時に打ち込まれた際に当時の首脳陣は先発で起用し続け、エースに飛躍している。現在の巨人は救援陣が強固なため、先発投手が長いイニングを投げずにマウンドを降りることが多い。前出の他球団の投手コーチは、「ピンチを乗り越えて長い回を投げ切ることで若手は自信がつくんですよ」と力説する。

 前出の巨人OBは、FAを含めた外部補強の副作用を懸念する。

「前田健太、則本を獲得したら1軍で起用することになるでしょう。その結果、若手の登板機会が減って成長する機会が失われてしまう。阪神を見ればわかるように、生え抜きの選手が投打の軸として稼働しなければ強さは維持できません。4番としてチームを支えてきた岡本和真がメジャー挑戦で得点力の低下は免れない中、今オフに補強を検討していると報じられる選手を獲得しても、阪神との差が埋まるとは思えない。投打で課題が山積みの来季は優勝争いどころか、Bクラスに転落する恐れがあります」

 大型補強の敢行は成功するか。そして、獲得した選手たちがチームに大きなプラスアルファをもたらすか。巨人のチーム改革が注目される。

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デイリー新潮編集部

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