蛙亭イワクラとの破局はM-1への“追い風”か オズワルド伊藤、芸人としての「本当の勝負時」

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

コンビとしての真価

 しかし、破局を経た今後の伊藤は、これまでとは少し違うステージに進むことになる。イワクラとの関係を前提にしたネタにした「伊藤俊介像」はリセットされ、再び芸人としての原点に立ち返ることになる。むしろ、別れを経たことで人間としての深みが増してくるかもしれない。

 また、オズワルドというコンビ自体も、ここで新しい段階に入ることになる。伊藤のプライベートが落ち着いたことで、コンビとしての真価が問われることになる。オズワルドは2019~2022年に4年連続で「M-1グランプリ」決勝進出を果たし、勢いに乗っていた。しかし、その後は決勝に進むことができず、伸び悩んでいる時期が続いている。

「M-1」に挑む芸人にはそれぞれの「旬」のようなものがある。オズワルドは自分たちに追い風が吹いている時期に優勝を果たせなかったことで、難しい局面に突入している。

 ただ、破局が明らかになったことで、そこに関する世間の好奇の目を気にすることもなく、本業の漫才に集中できる環境が整った。それ自体は悪いことではない。今年の「M-1」の予選はすでに始まっており、オズワルドは現時点では順調に勝ち上がっている。

 伊藤にとって今回の破局は悪いことばかりではない。人間としての幅を広げ、芸の深みを増していくチャンスが訪れたということでもある。これからが彼にとって本当の勝負時なのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。