日本人観光客ら15人が犠牲となった韓国「射撃場火災」 実は常連客だった日本の有名立てこもり事件の犯人「1週間前にも30発撃った」

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

釜山の繁華街で大惨事

 突如湧き出した黒煙、そこから飛び出してくる日本人――。2009年11月14日、韓国・釜山の繁華街・国際市場の中心地にある「ガナダラ実弾射撃場」で痛ましい火災が起きた。日本人観光客10人と韓国人ガイド・従業員ら5人が死亡、日本人1人が重傷という大惨事である。

 日韓で大きく報じられたこの火災で、実は難を逃れた人物がいた。1968年2月20日、静岡県で暴力団員2人をライフルで射殺し、寸又峡温泉の旅館で宿泊客ら13人を人質にとって籠城した金嬉老(きん・きろう)元受刑者(2010年死去)である。借金トラブルに端を発した事件のはずが集まったマスコミに在日朝鮮人差別を訴え、物議を醸したことでも有名な事件だった。

 日本へ二度と入国しないことなどを条件に仮釈放された1999年、韓国政府の助力で釜山に移住した金嬉老元受刑者。火災発生当時、ガナダラ射撃場の常連客になった経緯や移住後の生活を「週刊新潮」に明かしていた。

(以下、「週刊新潮」2009年12月3日号の記事を再編集しました)

 ***

火事の1週間前にも30発

 釜山市内でもとりわけ観光客の多い、国際市場。11月14日、大火災の発生した「ガナダラ実弾射撃場」はその目抜き通りにあった。金嬉老氏はその射撃場の常連客で、4年ほど前から通っていたという。

 本人に聞いてみると、

「日本から訪ねてきた身内が、“銃を撃ちたい”というので、探して見つけたのが最初だったんですよ。それ以来、平均して月に2回は行っていました。免許が無くても撃てるからね。日本からのお客さんも100人以上は連れて行きましたが、なかなか好評でした」

 金氏といえば、静岡県清水市(現在の清水区)のスナックで暴力団員2人を射殺し、寸又峡の温泉旅館に人質を取って籠城の末、逮捕。31年の獄中生活を経て、1999年9月に仮出獄し、その足で、故郷・釜山に渡った。

「火事の1週間前にも、30発撃ってきましたよ。値段は9万ウォン(約6900円=当時のレート)。バババッと早撃ちだから15分くらいで終わって、後は従業員と雑談していたんですがね。仲良くなった従業員も火事で亡くなってしまった。そこには、ブローニングやトカレフ、ベレッタなど十数種類の銃が、50丁くらいありました。銃のイロハはだいたい理解してる。2、3発撃って、上下左右どちらにブレるか、その銃の癖を見極めれば、後は、百発百中。腕前を見せたいくらいですね」

次ページ:夜になって電話があり仰天

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。