「踊る」超え1位へ “駄作”との評もあった「国宝」が業界の予測を吹き飛ばし、空前の大ヒットになった本当の理由
興収170億円を突破
映画「国宝」の“1位”が確実となった。公開から158日間となる11月10日基準で観客動員数1207万人、興行収入170億円を突破。これまでの実写邦画興収歴代1位だった「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年)の記録が173.5億円。追い抜くのは時間の問題となっている。
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映画ライターがこう話す。
「『国宝』を配給する東宝はすでに1か月以上も前に『踊る』を追い抜いて実写邦画歴代1位になる予想を立てていました。『踊る』はフジテレビが製作していたため、織田裕二や柳葉敏郎らキャスト陣をからめた番宣を、朝の情報番組から夜のバラエティーまで繰り返し行うことで無理やり観客を動員するという強引さがありました。しかし、『国宝』にはテレビ局が関わっておらず、しかも日本の伝統芸能である歌舞伎をテーマにした大作です。それがここまで大化けするとは予想もしていませんでした」
作家・吉田修一氏が3年間にわたって歌舞伎の黒衣をまとい舞台や楽屋、歌舞伎役者への取材をもとに書き上げた傑作小説の実写化。任侠の一門に生まれながらも父親を抗争でなくし著名な歌舞伎俳優に引き取られた主人公(吉沢亮)の役者人生50年を描いた。
歌舞伎を題材にした映画はあまり例がなく当初、業界では「興収10億円程度ではないか」ともささやかれていたが、ふたを開けたら空前の大ヒットを記録中。なぜそんなにウケているのか。
「映画館の客席で目立つのは高齢者層です。歌舞伎という日本の伝統文化を改めて知りたいという動機があり、1人の歌舞伎俳優の人生50年を自らに重ねて自身の人生を振り返るという観賞姿勢も多いようです。ただ、SNSでの感想などをきっかけに若者の来場者も増えており、高齢層と若年層、双方を巻き込んだ集客構造になっています。観た後に誰かに勧めたくなるという共感が拡散されると同時に、映像の美しさを再度味わうためリピーターが急増しているのです」(東宝関係者)
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