「ドラフト裏話」 高校生がプロ入りに慎重姿勢!? 保護者は球団の“見切り”の早さを警戒 スカウトは「安定志向が強すぎるのはどうか」と苦言
今年も様々なドラマがあったプロ野球のドラフト会議。スカウト陣の間で大きな話題になったのは、佐々木麟太郎(米スタンフォード大→ソフトバンク1位)と立石正広(創価大→阪神1位)だ。しかし、それ以外の選手についても各球団の事情やスカウト陣の思惑に関する話が聞こえてくる。【西尾典文/野球ライター】
強すぎる“安定志向”
なかでもよく聞かれた話が、高校生の指名が少なかったことだ。2位以内を見ると、石垣元気(健大高崎→ロッテ1位)と藤川敦也(延岡学園→オリックス1位)と森陽樹(大阪桐蔭→オリックス2位)のみだった。これは、2008年に「統一ドラフト」が復活して以来、最も少ない数だ。
ある球団のスカウトは、以下のように要因を分析している。
「今年は高校生のドラフト候補が少なかったですね。様々な要因があると思いますが、指名が期待された選手が、大学野球や社会人野球に進んだことが多いです。U18侍ジャパンの主将だった阿部葉太(横浜・外野手)をはじめ、4月のU18侍ジャパン強化合宿に参加した芹沢大地(高蔵寺・投手)や新井瑛太(滝川・投手兼外野手)らは特にスカウト陣の評価が高かったです」
としたうえで、さらに続ける。
「最近はプロ側の見切りが早いため、高卒で入団しても2~3年で戦力外通告を受けたり、育成契約となったりすることが増えてきました。選手本人の意向というより、保護者や指導者がその見切りの早さを警戒していることが多いですね。大学や社会人側も選手を勧誘する時に、プロ入りのリスクをよく説明しているそうです。ですが、潜在能力が高い選手は、大学や社会人に進んでも伸び悩むケースは少なくなく、練習環境が充実しているプロで鍛えたほうがプラスになる。最終的にプロに行きたいのであれば、“安定志向”が強すぎるのもどうなのかなと思いますね……」
昨年のドラフト会議では、55人(支配下22人、育成33人 ※ソフトバンク育成1位の古川遼は入団辞退)の高校生が指名を受けた。しかし、今年は33人(支配下19人、育成14人)と大きく減少している。育成であれば大学に進学するか、社会人に野球に進むかという条件を提示した選手が多かったそうだ。
支配下の下位指名や育成指名でプロ入りしても、すぐに戦力外になるリスクが大きいため、大学野球や社会人野球で経験を積んでから、プロを目指した方が無難と考える選手、または保護者や指導者が増加している。それは確かだろう。
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