日本国民に残された猶予は短い…? 「高市政権」に課された“安倍元首相の宿題”2つの論点

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 高市政権の発足後、日経平均は史上初めて5万円台に到達した。背景には高市総理の掲げる経済政策への期待がある。ただ、日本経済が本当に市場の期待通りに浮上していけるかについては、慎重な見方も存在する。日本総合研究所の調査部で主席研究員を務める西岡慎一氏は、「日本が“真に強い経済”を実現するため、政府が避けては通れないのが“アベノミクスの再設計”」だと指摘する。同氏のレポートをお届けする。

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市場が描く「成長ストーリー」と「現実」との乖離

 日本の株価は歴史的な上昇局面を迎えている。この背景には、高市政権が掲げる「強い経済」への期待がある。政府は「日本成長戦略会議」を新設し、防衛・経済安全保障を軸にサプライチェーンの強化を図る方針を打ち出した。積極財政と成長戦略によって経済再生を目指す構えだ。

 この姿勢が市場心理を好転させ、人工知能(AI)・半導体、造船、航空・宇宙といった戦略分野における公的支援や投資拡大への思惑が株価を押し上げている。

 しかし、市場が描くこの「成長ストーリー」と「現実」の政策運営の間には、少なからぬ隔たりがある。足元では「物価高対策」が優先され、「ガソリン税の軽減」や「電気・ガス料金の補助」といった価格統制的な政策が実施される見通しである。

 さらに、日本維新の会が提唱する「教育の無償化」も高校授業料を対象に一部実現する見込みであり、今後は「食料品の消費税ゼロ」といった施策も検討されよう。

 こうした家計支援策は短期的な安心感をもたらす一方で、市場が期待する成長投資に必要な財源確保は後回しにされる公算が大きい。市場は中長期的な成長を織り込み始めているが、実際の政策は「物価高への応急措置」に追われているのが実情だ。

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