水上恒司に山田杏奈、坂東龍汰も… 注目の若手俳優が勢ぞろいのドラマ「シナントロープ」が“一味も二味も違う”ワケ
「シナントロープって何?」「あ、店名か」「バイト多いな、人件費かかるわぁ」「青春食堂系じゃないな」「クライムサスペンス? 特殊能力系? え、ゾンビ?」「外注と害虫……なるほど」「すぐ横に闇!」「なんだこれ、すごく面白い!」。初回から脳内が大忙しで引きつけられたのがこのドラマ。何ひとつ定番やお約束がなくて、予測不可の不規則な進行。リズミカルで言葉遊びに満ちたセリフ回しと場面転換。大勢のキャストだが、多弁と冗舌と寡黙が心地良く不協和音を奏でている。“ハンバーガー店でバイトする若者の恋と欲と闇を描く青春群像劇”とは簡単に言い切れない不穏さときな臭さが漂うドラマ、「シナントロープ」の話だ。
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で、シナントロープとは? AI先生によると「人間社会の恩恵を受けて共生する野生の動植物」だそう。このタイトルの意味が実に興味深くて、空恐ろしい。
メインは大学生やフリーターの八人。5歳のときに超絶記憶力でひき逃げ事件を解決に導き、神童と呼ばれたものの、その後はパッとしない大学生・都成(となり)剣之介(水上恒司)、気が強くてトラブルに自らつっこみがち、鳥オタクの水町ことみ(山田杏奈)、調子よく冗舌&軽薄だが、不遇な家庭に育った木場幹太(かんた・坂東龍汰)。漫画家志望の田丸哲也(望月歩)に、実家が太い優等生・里見奈々(影山優佳)、自傷癖と裏切りの匂いがする室田環那(鳴海唯)に、男気のあるように見えるが常に金欠、女癖は悪いバンドマン・塚田竜馬(高橋侃)。しっかり&ちゃっかりしている令和の若者に見えても、全員がどこか脆くて危うさもあるところがいい。あ、劇中でも忘れられがちなのが、新人の志沢匠(萩原護)。寡黙でほぼ動かないため、ハシビロコウと呼ばれる。飛ぶ鳥を落とす勢いの若手俳優で固めた布陣でもある。
そんな八人がバイトするハンバーガー店だが、強盗に入られたり、不評がネットに書き込まれて閉店の危機。オーナー(黒田大輔)は畳むつもりだったが、水町を中心に新規開店で巻き返しを図ることに。とはいえ閑古鳥が鳴く状態は不変。
で、鳥瞰すると彼らの周辺ではなにやら黒い影がうごめいていている。折田(染谷将太)なる男の指令で動く烏合の衆だ。強盗に入ったのは、久太郎(アフロ)と龍二(遠藤雄弥)の幼なじみコンビ。ちょっぴり間抜けなこの二人に加え、折田に仕える、なんか強そうな謎の女・睦美(森田想)。さらには押し込み強盗のターゲットを見張るコンビも。若い男(栗原颯人)とおじさん(山本浩司)も闇バイトのようだ。つまり、脆い若者たちのすぐ近くには、裏稼業に手を染めた人物が生息している。どす黒い犯罪への入口はパカッと開いていて、手ぐすね引いて待っている構図に見える。どこか不気味で不穏だが、これぞ令和の空気感。日常と地続きで、犯罪に加担するハードルを低くする空気感ね。脇が甘い、または甘い言葉をうのみにする若者に近寄る影の存在には鳥肌が立つ。
とにかく見て。なんなら鳥類図鑑片手に見てほしい。











