「日本の警察に負けた」と言わせた警官、国葬となった元仲間、墓前に集まる男たち…日本で暗躍したソ連スパイ「ゾルゲ」を取り巻く人々

  • ブックマーク

 日本で暗躍した海外スパイとして、現在も高い知名度を誇るリヒャルト・ゾルゲ。そのゾルゲが東京の巣鴨拘置所で極刑に処されたのは、1944年11月7日のことだった。ゾルゲ自身と事件については研究家たちに話を譲り、ここでは「週刊新潮」が断続的に掲載した関連記事から、「ゾルゲの周辺」に目を向けてみよう。

 昭和16(1941)年10月24日午前、東京拘置所。男は大きく息をすると突然立ち上がり、上着を脱いで椅子に投げつけ、両手の拳を震わせながら部屋中を歩きまわり、ドイツ語で喚き散らした。...

つづきを読む