日本経済は咲き誇れるか… 支持率80%超えの高市政権だから注文したい「やるべき」「やめるべき」選択

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「高市内閣」発足後の10月27日、日経平均は史上初の5万円台を突破し、その後も連日最高値を更新。翌28日におこなわれた日米首脳会談は、かつての安倍元総理とトランプ氏の親密さを彷彿とさせるもので、高市早苗総理は誰の目にも「最高のスタート」を切ったように見える。市場の期待通り、日本経済は新総理の掲げる「責任ある積極財政」のもと、“世界の真ん中で咲き誇る”ことができるのだろうか。BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏に「目玉政策」について聞いた。

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日本の財政は「ボーナス期」にある

 高市政権への市場の受け止めは、日経平均株価の上昇にも表れているように「総じて良い」と思っています。あえて「総じて」という副詞をつけるのは、実は今の日本は誰が総理であっても、「ボーナス期」であるためです。

 インフレが進んでいることで、株式に限らずあらゆる金融資産が上がりやすい環境にあるうえ、長きにわたり低金利が続いたことで、企業の業績が上向きやすく、それによって当面は税収も上振れしていく可能性が高い。つまり何もしなくてもプライマリーバランスがある程度は回復していく見込みなのです。財政基盤が改善すれば長期金利を抑える効果を期待でき、それも株価には追い風となります。

 市場での評価がやや低めだった石破政権ですが、それでも総理在籍期間に日経平均は1万円以上も値を上げています。つまり、株価上昇の素地は既に出来上がっていたということで、高市さんだから上がる、石破さんだから下がる、といった見方はいささか短絡的だと感じます。

 むしろ注目すべきは株価よりもその高い支持率です。これは素直に高市総理や新政権への期待感の表れだと思いますので、今はその点を評価すべきタイミングだと思っています。この財政的なボーナス期と高い支持率を背景に、日本経済を成長路線に持っていけるかどうかが、今後の評価を左右していくだろうとみています。

「ガソリン税の暫定税率廃止」の気がかりは「整合性」と「公平性」

 では、自維連立政権の合意書で示された各政策は、日本経済の成長にどれぐらい資することができるでしょうか。順に検証していきたいと思います。

 まず12月31日に廃止することが決まった「ガソリン税の暫定税率」についてですが、私は経済政策としては中途半端だと感じています。

 前提として、この政策は立憲民主や国民民主など野党も共同して実現を求めてきた経緯がありますので、少数与党としては実施せざるを得ない経緯があり、ある程度は物価を抑える効果もあると思います。一方で気がかりなのが、1リットルあたり4.4円の地方揮発油税との「整合性」と、恩恵を受ける人といない人が出てくるという「公平性」です。

 なぜ国に納める暫定税率の廃止が決まった一方で、地方に納める地方揮発油税は継続するというちぐはぐな事態となっているのか。一因として、これらの税金が使い道を限定する「特定財源」ではなく、用途を問われない「一般財源」として徴収されている点が挙げられます。

 今年1月には、埼玉県八潮市で道路の陥没事故が起きました。少し前になりますが2012年には山梨県の笹子トンネルで天井板が落下する事故が起きています。こうした事故を防ぐためには全国のインフラを保守・強化する必要があり、それには多額の費用がかかります。

 また、ガソリン関連の減税は日常的に車を運転する人や、そうした業種にはメリットが大きいかもしれませんが、逆にそうでない人は輸送コスト軽減といったわずかな恩恵しか受けられません。

 道路の補修などインフラ整備の必要性は誰しも理解のできることだと思いますので、車を使う人には必要な分だけ税金をもらって、その代わりにインフラの整備以外には使わないという税の特定財源化も、一つの手段ではないかと考えるのです。

 人気があって支持率も高い高市さんが、言葉を尽くして「道路以外の他のことには使いませんので、どうか納税にご協力ください」と説明すれば、ほとんどの方は「自分たちの安全のためにお金を払うのはやぶさかではない」と理解してくれるのではないでしょうか。

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