“海外でも人気爆発”のはずが…なぜ「アニメの制作中止」が起きるのか? クラファンで資金集めも“制作費が倍増”で頓挫する例
高額化するクラウドファンディング
クラウドファンディングにも様々な問題がある。支援のコースは年々高額化し、10万円、20万円は当たり前で、なかには50万円、100万円という高額のコースも存在する。高額のコースはふるさと納税のように返礼品の豪華さが競われており、等身大アクリルスタンドからフィギュア、なかには漫画家の直筆サインまで、ファン垂涎のグッズが多くみられる。
実施する側の“公式”も、“100万円まで達成したらさらに豪華な特典が追加!”などと盛んにファンを煽る。結果、グッズが欲しいがために、そういった高額のコースに無理に支援し、支払いに苦しむ人も少なくないという。それは、実際にフリマサイトやオークションサイト、中古アニメショップなどを覗いてみればよくわかる。
フリマサイトやオークションサイトには、クラウドファンディングの返礼品だったグッズが多数並ぶ。一見すると転売品のように思われそうだが、安い価格で出品されているものも普通にある。筆者は出品されていたある返礼品を購入し、出品者にどういった経緯で出品するに至ったのか話を聞いてみた。
「お金がなくなり、返礼品を1ヶ月でやむなく売りに出しました。もちろん私も売りたくはなかったんですが、物価高で生活が厳しくなってしまって……。後先考えずに寄付してしまったことは申し訳ないと思っていますし、ファンの方にも、(漫画家の)先生にも謝りたいと思っています。これからしばらく、グッズの購入などは控えるつもりです」
返礼品を中古ショップに売る人が増加する理由
こうしたクラウドファンディングを問題視する人も少なくない。とあるアニメ系中古ショップのスタッフH氏が語る。
「クラウドファンディングの返礼品にはもちろんプレミアがつくものもありますが、ほとんどのグッズはそれほどプレミアム価格がつかず、買い取りの金額も安いんですよ。それでも持ち込んでくるということは、本当に経済的に困って売りに来ているのだと思われます。そして、今のSNS中心でつながっているオタクたちの、界隈ルールにも問題があると思います」
いったい、どういうことなのか。
「一度、持ち込んできた人に“フリマサイトで売ったほうが多少は高いんだから、そっちで売ればいいじゃん”と話したことがあるんです。すると、こう言われました。フリマサイトやネットオークションにそういった返礼品を出すと、一部の熱狂的なファンの人が“違反通告”するのだそうです。だから、当店のような買い取り店に仕方なく持ち込んだのだとか。
昔のオタクは、グッズを売買したりすることにも比較的寛容だったんですよ。今の人たちはとにかく“公式は絶対善”で“転売は絶対悪”とみなすので、生活に困って売りに出したりする人のことも“転売だ!”と叩く。違反者が出ると村八分にするような、かつての村社会のような空気がファンの間に漂っていて、居心地が悪いようです」
[2/3ページ]



