「人が見えていないものを見たりして…」 横尾忠則が感じている“世間とのズレ”の正体 「芸術においてはむしろいい」
僕はムカシから人や社会とズレていることを感じていました。このズレはほぼ決定的なもので、年齢を重ねれば重ねるほどその溝は深くなっていくように思います。
そのことを一言で言ってしまうとこういうことです。この世界のとらえ方、物の考え方がどうも人と違うのです。世の中の大半の人はこの世界を見える、手で触れることができるものと考え、そして言葉や観念で理論的に科学的に根拠を説明できる、という世界観にもとづいた考え方を基本としているはずです。
ところが僕はいつの頃からか全ての物の根源は物質であるという唯物的世界も認めると同時に、その背後に隠されている、いわゆるこの現実とは分離された、もうひとつの見えない、触れることのできない、科学的に理解不可能な世界の存在に特に強く心が惹かれていたのです。...

