視聴率0%台…「とれたてっ!」が大コケで招く“負の連鎖” 夕方ニュースも共倒れの深刻度

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悩ましいフジ

 手っ取り早い解決策は「とれたてっ!」も放送時間を1時間早めること。そもそも関テレは午後1時50分から放送している。PD(プログラム・デイレクター=コーナーの順番などを考える)は他局と真っ向から勝負できるので、喜ぶだろう。

 企業としての関テレも喜ぶ。フジから入るネット料(番組のネット先が支払う料金)が劇的に増える。

 もっとも、フジとしては二の足を踏むだろう。2時間にわたって放送してしまうと、仮に視聴率低迷で打ち切るとき、敗戦処理に手間が掛かる。主にスポンサー調整である。

 フジは「とれたてっ!」の潜在能力も大いに気にしているだろう。放送開始を午後1時50分にしたら、どれくらいの視聴率が取れるのか。本家である関テレでの視聴率を見てみたい。

 10月31日放送分は読売テレビ「ミヤネ屋」が個人2.5%(世帯5.1%)、MBS「ゴゴスマ」が個人2.9%(世帯5.9%)、「とれたてっ!」は個人1.3%(世帯2.8%)である。

「とれたてっ!」の数字は関東よりずっと良いが、やはり他局にかなり差を付けられての3位。フジはこの点でも午後1時50分スタートにするかどうか迷うはずだ。今、関西でトップだったら、迷わず番組冒頭から流すだろう。

「やっぱり再放送を」という声もある。名作ドラマをやれば視聴率が取れるという誤解が流布されているせいもあるだろう。

 実例を挙げたい。8月19日に再放送された「北の国から」(1981年)は前半1時間が個人0.8%(世帯1.8%)、後半1時間が個人0.7%(世帯1.5%)。ほかの日も同水準である。ドラマには時代が反映されているから、長い時間が経ったあと、多くの支持を得るのは難しい。

 おまけに再放送はちっとも儲からない。この点でもフジは午後帯をなんとかしたいだろう。再放送は制作費がゼロだから、高額のスポンサー料を取れない。だから局に入るマージンも安い。再放送でのCM売上高は頑張っても通常の番組の10分の1程度だ。

 なぜか。車、マンションの販売と比較すると分かりやすい。どちらも特別な事情がない限り、新車や新築マンションを売ったほうが中古を販売するよりはるかに利益が出る。

 フジの浮沈は「とれたてっ!」の行方にかかっている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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