秋田にはいまも「クマを殺すとは何ごとか!」の声が殺到…“戒厳令”状態の県民を尻目に「動物愛護」クレームの不可解

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外出自粛による県民の健康が心配

 B氏が話すように、クマが市街地にも出没するようになり、日課となっていたウォーキングをやめたり、外出を控えたりする県民が増えているようだ。そんななかで問題視されるのが、健康面での問題である。秋田県内で開業している、筆者の知人の医師C氏は、このように話す。

「私が診察する患者さんの話を聞くと、明らかに運動不足になっている人が多いようで、不安です。コロナ禍のときも極端な自粛で体が弱くなり、かえって病気にかかりやすくなったり、膝や腰を痛めてしまったりする人が見られました。秋田県は車社会で、もともと東京の人よりも不健康になりがちですが、クマの影響で深刻な運動不足に陥っていると思います」

 高齢者は言うに及ばず、子どもたちの健康面も心配である。筆者の知人で子どもが2人いる秋田市在住のD氏は、「子どもたちを外で遊ばせると、いつクマに出くわすかわからないため、家のなかで遊ばせている」と話していた。D氏がこう話す。

「正直、過剰反応な気はするんですよ。それでも、近所で何度もクマが目撃されているため、怖くて仕方ないんです。私は秋田市に40年住んでいますが、今までは目撃情報なんてなかった住宅街にも普通にクマが出る。まさに前代未聞で、どうすればいいのかわからないんです。行政のみなさんも頑張ってくださっていると思うのですが、なかなか不安は払拭できません」

愛護団体によるクレーム電話は大迷惑

 県民が不安に感じる一方で、問題になっているのが“人間”によるクレームだ。一部の動物愛護団体による抗議活動はエスカレートしており、前出の宇佐見氏のXにも連日のようにクレームが書き込まれている。今回話を聞いた県民の全員がそうした団体に対して不満を感じていたが、D氏は「クマ対策を妨害している人間のほうが遥かに恐ろしい」と話す。

「どうせなら、外部の安全圏から文句を言うのではなく、秋田県に住んでみてはどうか。人口が増えれば、クマの生息域が少しでも狭まると思います。でも、そういう団体の人に限って、ゴキブリやアネコムシ(注:秋田県でカメムシを意味する方言)のような昆虫も怖がるパターンでしょう。口だけの連中が、クマと共存などできるわけがありません」

 そして、某市の役所に勤務するE氏は、実際のクレームを電話で受けている。そのときのやり取りをこう話す。

「電話口でいきなり、大声で“クマを殺すのは何事か!”と言われたんです。私がいる部署はクマと何も関係がないので、おそらく、手当たり次第に電話をしているんでしょうね。相手は中年以上の男性と思われますが、延々と10分も早口で説教が続き、いったい何を言っているのかわからなかった。こちらが口を挟むことができませんでした。

 最終的には上司が対応してくれてどうにかなりましたが、抗議電話の対応だけで疲弊している職員も多いようですね。こんなことを言うとまた怒られそうですが、愛護団体だけでなく、やることがなくて暇を持て余している人が面白半分で電話をしている例もあるのではないでしょうか」

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