「進次郎さんはピエロのような役回りに…」 コメ政策を「ちゃぶ台返し」した鈴木農水大臣 石破前首相は「論理の飛躍」と批判
依然として高止まりを続ける米価。5月に農水相に就いた小泉進次郎議員(44)は、備蓄米放出の指揮を執り、すっかりメディアを席巻した。が、新政権では配置換え。後任の鈴木憲和農水相(43)が正反対の政策を打ち出したものだから、すべては水泡に帰してしまった。
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農水省によれば、10月13日から19日に全国のスーパー約1000店舗で販売されたコメの平均価格は、5キロあたり4251円。前週より109円高く、7週連続で4000円台の高値が続いているという。
そんな中、21日に発足した高市内閣では、同省OBの鈴木前復興副大臣が農水相に就任。小泉議員は防衛相へと配置換えされた。
「小泉さんが鳴り物入りで“コメ担当大臣”に就いたのは5月21日。『スピード感をもって対応したい』と述べていた通り、政府の備蓄米を随意契約で小売業者に払い下げ、5キロあたり2000円前後での店頭販売を実現させました。同月末からお目見えした商品は“小泉米”ともてはやされてきたのです」(政治部デスク)
が、その後も米価は3500円台までしか下がらず、
「新米が出始めても高値が続きました。また当の備蓄米についても、農水省は当初、販売期限を8月末としていたところ、『小売店への引き渡し後1カ月』を目安に延長している。小売業者への配送などに時間を要し、期限までには売り切れないと判断したためです」(同)
実際に、9月30日の閣議後会見で小泉前農水相は、随意契約の備蓄米のうち約7万トンが引き渡しを終えていないと明かしていた。
「コメ対策チーム」は年内に解散
一方、新大臣はといえば、
「22日の就任会見で鈴木大臣は、米価について『価格はマーケットの中で決まるべきものだ』と述べ、政府がコミットしない考えを示しました。また小泉さんが米価高騰を抑えるために放出した備蓄米についても、量が足りない時に出し、足りていれば出さないというのが基本だとしています。翌日の各社インタビューでも、小泉さんが発足させた『コメ対策チーム』について、年内に解散するとの見通しを語っていました」(前出のデスク)
すなわち、前任者からの方針大転換を早々に打ち出したのである。
「鈴木大臣は2012年に役所を退職し、父方の故郷である山形県に移住。その年の暮れの総選挙で“TPP交渉参加反対”を掲げて山形2区から出馬し、初当選しました。2年前には岸田内閣で農水副大臣に就いています。米どころを地盤とするだけでなく、自身も水田のオーナーで、趣味には『美味しいお米探し』を掲げているほどです」(同)
「小泉さんはピエロのような役回りに」
農業へは一家言あるというわけで、この6月には、
〈国がやるべきことは備蓄米の放出ではなく、すべての国民に平等に行き渡る物価高対策だと思う〉
などと発言。小泉農政に疑義を呈していた。
「鈴木大臣は、従来型の農政の擁護者。コメ政策を元に戻すには、うってつけの人事といえます」
とは、政治ジャーナリストの青山和弘氏。さかのぼれば8月5日、生産量が需要量より不足していたために価格高騰を招いたとして、石破茂前首相は“増産にかじを切る”と表明したのだが、
「石破さんと小泉さんが掲げた“増産して価格を一定程度下げ、余った分は輸出に回す”という方針には、高市さんの周辺で“転換すべきだ”という声が強かった。鈴木大臣は、総裁選の決選投票で高市さんを支援した茂木(敏充)さんの側近で、農水相に適任でした。ただし、それによって前政権の増産方針はひっくり返され、従来の生産調整に戻ることになります」(同)
生産量を増やし、安価で消費者に行き渡らせる。そのための施策は、葬られてしまったのだ。
「自民党内で“疑似政権交代”ともいえる変革が起き、その中で小泉さんは象徴的な存在として、ピエロのような役回りになったといえます。高市さんからすれば、優先的な課題としていないコメ政策を鈴木大臣に任せておけば、生産者やJAなどの票が確保でき、党内の不満も抑えられる。そう考えたのだと思います」(同)
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