重機関銃や攻撃ヘリを使えば「自衛隊にもクマの駆除は可能だが…」 専門家が「発砲が許可される可能性は“ほぼゼロ”」と断じる理由

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攻撃ヘリなら完全な駆除が可能

 ウクライナ軍はドローンに手りゅう弾を搭載し、カメラを見ながら北朝鮮の兵士を攻撃して多くの軍事関係者の注目を集めた。同じことはクマに通用しないのだろうか?

「クマは時速50キロで移動しますので、空中から手りゅう弾を投げても逃げられてしまう危険性があります。もし空から攻撃する必要があるのなら、対戦車ヘリコプターのAH-1が適任でしょう。愛称は『コブラ』で、搭載している機関砲の口径は20mmですからクマはひとたまりもありません。空中から安全にクマを駆除することが可能です」(同・軍事ジャーナリスト)

 ただし、クマに対する“発砲許可”を国が出す可能性は、ゼロだと断言していいという。

「誰が考えても分かることですが、クマが暴れているのは森林に近い住宅地です。民家が建ち並ぶ中で12.7mm重機関銃を発射したり、コブラが空中から機関砲で攻撃したりすることは平時では許されません。発砲許可が出るのは日本が敵軍から攻撃されているという戦時だけです。いくら近隣の住民を避難させても重機関銃は使えません。クマの駆除を目的として、そんな大規模攻撃に許可を出すことは非現実的であり、絶対にあり得ないのです。やはり自衛隊はクマ駆除の後方支援に徹するしかない、と言えるでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 ちなみに北海道で訓練を行っている自衛隊の指揮官に対し、あるジャーナリストが「ヒグマが出たらどうするんですか?」と質問したところ、「被害を出さないため、すぐに撤収して逃げます」という答えが返ってきたという。

 第1回【秋田県知事が支援要請も「自衛隊にクマは撃てない」は本当か? 1960年代には「害獣の棲み処」に陸海空3自衛隊が“猛攻”をかけた実績も】では、何と自衛隊が“海獣”を猛攻撃した事例について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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