重機関銃や攻撃ヘリを使えば「自衛隊にもクマの駆除は可能だが…」 専門家が「発砲が許可される可能性は“ほぼゼロ”」と断じる理由
第2回【そもそも自衛隊の「89式5・56mm小銃」でクマを駆除するのは至難のワザ…専門家は「アメリカ軍の特殊部隊が3人1組で立ち向かってもクマには勝てない」と断言】からの続き──。クマによる深刻な被害に悩まされている秋田県の鈴木健太知事は、意外な経歴の持ち主だ。京都大学の法学部を卒業すると、陸上自衛隊に入隊したのだ。(全3回の第3回)
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担当記者は「鈴木知事は一般幹部候補生として入隊し、部隊では小隊長として勤務していたそうです」と言う。
「鈴木知事の公式サイトを見ると、東ティモールPKOやイラクなど海外派遣に従事した経験があるほか、奥さまも女性自衛官だったことなどが分かります。今回、鈴木知事は防衛省にクマ対策の緊急支援を求めて大きな注目を集めました。ただ、鈴木知事は元自衛隊員として現場の実務を熟知しており、『自衛隊ができること、できないこと』を踏まえた上で要望を行ったと考えられます。そして『できないこと』の大きなポイントは、『自衛隊はクマに対する“交戦許可”は出さない』ということです」
軍事ジャーナリストは「ただクマを駆除することだけを考えるのなら、確かに自衛隊にはそれだけの装備があります」と言う。
「最も威力を発揮するのは『12・7mm重機関銃M2』でしょう。非常に汎用性の高い兵器で、戦車や装甲車のほか、巡洋艦やアメリカ海兵隊のヘリコプターなどにも搭載されています。またウクライナ軍はロシア軍のドローンを攻撃するために使っています。陸上で発砲すれば乗用車などは簡単に破壊するだけの威力がありますし、トヨタのランドクルーザーといったピックアップトラックに積むことも可能です。陸上自衛隊が本気を出せば、M2を搭載した装甲車を2両出動させ、クマを発見したら2台の機関銃で挟撃すれば一撃で駆除できると思います」
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