「ママ、酔っ払ってごめんね」…「鳥取連続不審死」獄中死の元死刑囚、逮捕前日に古巣のスナックで見せた酒豪ぶり

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アパートで奇妙な共同生活

 美由紀の「特異」な生活は、住まいにおいても浮き立っていた。平屋アパートの部屋の間取りは8畳間とキッチン4畳、トイレ風呂付きで家賃2万5000円。隣の部屋をXが借りて、都合2部屋を専有していた格好だった。

「2部屋といっても、自分の部屋は荷物置き場。もっぱら隣のXの部屋で、子どもも一緒に7人暮らし。あとは犬3匹とネコ5匹。家財道具はみんな表に出して、Xの軽自動車にも荷物を積んでいた。おまけに、3月から家賃を4カ月分滞納していました」(関係者)

 一昨年暮れ、美由紀は「好きな人ができた」といってスナックを退店。その相手がXだったのだが、お世辞にも上等とはいえないアパートで、過去の交際相手や一時的な同居人も入り乱れ、奇妙な共同生活が繰り広げられていた。

 逮捕直前の10月31日、美由紀はXやアパートの住人を連れて、古巣のカラオケスナックを訪れていた。

「里美が来るのは半年ぶりだった。4人で焼酎を3本空けていたけど、うち1本半はあの子1人で飲んでいた。カラオケをやって、森昌子の『せんせい』やTHE虎舞竜の『ロード』を歌っていたわね。次の日は電話で『ママ、酔っ払ってごめんね』なんて謝っていましたよ」(ママ)

 それから一夜明け、美由紀は逮捕された。

危うく逃れた経営者の証言

 実は逮捕直前、かろうじて「7人目」から逃れていた人がいた。市内に住む古参の電器店経営者が、こう証言する。

「10月6日、私の店にXが1人で来店しました。一見の客でしたが、私が40年来親しくしている人の名を挙げるので、すっかり気を許してしまった。その3日後、今度は上田と一緒に現れて『今は手持ちがないが、近々入金予定があるので、20万円の42インチの液晶テレビを買いたい』という。口約束の売り掛けなど普段はしないのですが、信用して取引をしたのです」

 2人は翌日も来店し、ブルーレイレコーダーやデジタルビデオカメラを同じ手口で購入。同月15日には、20万円の冷蔵庫なども買い、売り掛けが120万円を超えたため、店主は売買契約書をとり交わした。

「最終的に、Xから『11月2日に集金に来てほしい』と言われまして。『なぜ私が出向くのか』と問うと、『100万円以上持ち歩いたことがないので不安だ』という。で、当日電話してもつながらない。その後、ニュースでBさんという人と同じことが行われようとしていたのだとわかり、怖くなりました」(同)

(以上、「週刊新潮」2009年11月19日号を再編集しました)

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