被害者に「26歳です」とウソを…09年「鳥取連続不審死」元死刑囚 “自衛隊員と幸せな結婚をした女”はなぜ死刑に至ったのか

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「じいじ、死んじゃった」と

 彼女と同居し、別の詐欺容疑で逮捕されたX(46)は、運転手としてメンバーに加わっていたという。さらにこの従業員は、死の直前のAさんの様子を目の当たりにしていた。

「亡くなる前日だったと思います。いつものように彼女とAさんが買い物にみえたのですが、Aさんは辛そうに『下痢が止まらない』と言い、上田さんは『お医者さんに連れて行かないと』と心配した様子でした。その2日後、上田さんが1人で新聞を買いに来たので『Aさん大丈夫?』と聞いたら、『じいじ、死んじゃった』と言う。『私は第一発見者だから警察に事情を聞かれたけど、あんなに調べられるなんて』とも言っていました。『何で亡くなったの』と尋ねても、『思い出すと辛くなるから』と教えてくれませんでした」

 その後、美由紀は「香典」の名目でアパートを回り、住民から金を集めていたというが、関係者によれば葬儀は執り行われず、「警察署の中で親族が立ち会って納棺し、そのまま火葬場へ向かった」。

呼び出され、変わり果てた姿に

 前述の通り、遺体から薬物が検出された男性は他にもいる。うち、鳥取市内で電器店を経営し、売買をめぐって上田・Xと金銭トラブルになっていたのがBさんである。息子が言う。

「親父は2人に頼まれて製品を仕入れていました。他の被害者と違って、上田とはただの取引先という間柄だったけど、彼女は親父に『26歳です』とウソをついていたのです」

 父親の遺した業務上の「受注日誌」を見ると、8~9月にも2人からの注文が相次いで入っている。

「この分だけでも大体90万~100万円くらいが未払いになっている。(支払いについて)親父が呼び出されたのは10月6日の朝。たまたまその日、俺は風邪を引いて寝込んでいた。俺がついて行っていれば……」(同)

 家族によれば、Bさんの遺体はひどく傷ついていたという。

「親父も多分、詐欺だと分かっていた。でも生活がかかっているから、代金を貰うため、意地でも抵抗したんでしょう」(同)

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