電話を切った長州力は「ドーム押さえてくれ!」と吼えた…プロレス史に輝く「伝説の10・9」が“東京ドーム開催”に決まった衝撃の舞台裏を完全再現

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「戦いってのは、リング上のことなのか、法廷闘争なのか」(髙田延彦)「ドーム押さえてくれ!」(長州力)

【午後2時40分:Uインター事務所・別室】

 新日本側にいた柴田記者の電話を受け、別室にて髙田が対話。柴田記者が『東スポ』の記事内容に、適宜謝意を示した後で、今まで聞いていた長州の発言を髙田に説明する。

【午後2時52分:Uインター事務所・会見場→別室】

 柴田記者との電話を終えた髙田が別室から出て来て各マスコミの前で口にする。

「これ(東スポ)を全部飲んで解釈しての返事なのかわからないけど、長州が(対抗戦の)交渉のテーブルにつこうと言って来たらしいんですよ。話し合おうみたいなニュアンスで。何で急にそんなこと言い出したのかわからない……。その辺、確認を取れないかな?(同じ『東スポ』の成田記者に)柴田さんに連絡して貰えますか? そうじゃないってことだよね? 今、解決しなきゃいけないのは、そうじゃないでしょ? って……」

 成田記者を通じて柴田記者に電話が繋がり、髙田は別室に移動。
 
【午後3時5分:新日本事務所】

 事務所でざっくばらんに談笑していた長州のところに、柴田記者がやって来て、電話を渡す。受け取って出た長州の表情が一瞬のうちに険しくなり、次には大声が飛ぶ。

「ちょっと! マスコミ! 下がっててくれ!」

 記者たちは会議室に戻され、長州がいた部屋の扉はピシャリと閉められたが、たまらず記者の1人が扉を開けると、長州の怒号が聞こえて来る。

「ホントか、テメー、この野郎! ヨーシ!」

 電話を切った長州が、山中英明営業部長のデスクに駆け寄った。

「どこでもいいぞ! ドーム押さえてくれ!」

【同時刻:Uインター事務所】

 防音ガラスで隔てられていた別室で電話で話していた髙田の顔が、急に険しくなる(*長州に換わったと見られる)。ガラス越しにもわかるほど、声を荒げていた様子の髙田は、電話を切り、同室内にいた鈴木健、安生としばらく会話。そして出て来る。

「直接、(長州と)話しました。柴田さんから換わって、(長州が)『やるのか!?』って言うから、僕は『本気なのか!?』って聞いたら、『やるぞ!』って向こうが言って来たんで、こっちも興奮はしてたんですけど、覚悟というか、そういう思いを持って来いよ、みたいな感じで(電話を切りました)。

 何をやるかは、まだわかりませんが、向こうの代表が『やる!』って返事をして来たんで、こちらとしても、『やるぞ!』と。それはおそらく戦いだと思うんです。戦いしか、ないもんねえ?

 その辺が……これ(リング上の戦い)でなくて、法廷闘争をやるぞ、なのか(苦笑)。向こうも一方的で、とにかくやるぞという形で来たんで、それが何かは、早急に詰めて行かないと。法廷闘争を死ぬ気でやるのか(苦笑)、あるいはリング上で死ぬ気で潰し合いをするのか……。

 あちらさんも相当興奮してたんで、聞いてみて下さい」

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