「ウエイトトレーニングを一切しない」山本由伸は、なぜ大投手になれたのか? 才能を開花させた“常識外れ”の練習法とは
体格に恵まれていたわけではない。ドラフト上位だったわけではない。それでも山本由伸投手はオリックス入りして2年目のシーズンには頭角を現し、5年目には最多勝投手となる。その後の活躍はあらためて触れるまでもない。そして今年、ドジャースでの活躍は日本中を沸かせた。
その華々しい実績をどう捉えていたのか。スポーツライター、 中島大輔氏の問いに対して本人は驚くほどクールな答えを返していた 。(デイリー新潮2023年2月17日配信の記事を再構成しました。 年齢などは当時のものです)
〈 5回連載の第3回〉【中島大輔/スポーツライター】
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山本投手の「一番打たれない球」がさらに進化すに磨きがかかることに期待する人は多いことだろう。
その独特のフォームが生まれたきっかけについては関連記事(“新人”山本由伸のフォームチェンジに立ち会い「おお」と思わず口にした日本人大打者)に詳しい。
山本がウエイトトレーニングを一切行わないことは、球界ではよく知られている。代名詞のように語られるのが、やり投げやブリッジという独特な練習法だ。
野球選手はウエイトトレーニングをするべきか、否か――。
しばしば議論になるテーマだが、二元論は不毛に感じる。バーベルやダンベルなどのおもりを持って鍛えるのは、あくまで手段の一つに過ぎないからだ。
「ウエイトトレーニングを否定するわけではなく、それよりもBCエクササイズがよりいいっていう言い方になります」
山本は自身の考えをそう説明する。都城高校時代はトレーナーの下でウエイトを行っていたが、感覚的にしっくりこなかったという。周囲と比べて自分のほうが小さいのに、速い球を投げられていたからだ。
同時に、高校時代の山本には違和感があった。たびたび悩まされていた右肘の張りだ。当時から最速151km/hをマークするなど出力が高く、肘の靱帯に高いストレスがかかっていた。医者や整体師からストレッチや、インナーマッスルを鍛えてはとアドバイスされたが、山本は「ピンとこなかった」と振り返る。
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