三谷幸喜の“昭和”ドラマが大爆死のワケ 好評だったレトロ「ふてほど」と何が違うのか

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TVerも苦戦

「初回のTVer再生数が200万回」という情報もあるが、お気に入り数はTBS系「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(火曜午後10時)の128万、裏番組にあたる日本テレビ系「ESCAPE それは誘拐のはずだった」(水曜午後10時)の76万に比べ、「もしがく」は57.8万と大差を付けられているのが現状だ。

「主役を張れるほどの大物キャストが続々と出演しているにもかかわらず、お気に入り数が60万に届かないというのはかなり深刻です。TVerで視聴する層は再生速度を1.5倍などに上げて視聴する人が多く、登場人物が多すぎると集中できなくなり脱落してしまうのです。

 豪華キャストを揃えたことが完全に裏目に出ていますね。しかも、ストリップ嬢役にもかかわらず二階堂ふみやアンミカの露出が少なすぎます。せめて代役を使って背中を見せるなど工夫の余地はあったはず。千葉県内に渋谷を模した巨大セットを建造するなど、1話8000万円の予算を投じたのにこれでは泣きっ面にハチでしょう」(フジテレビ関係者)

「昭和の渋谷」という設定は“懐かしさ”や“レトロ感”を狙ったものだろうが、同じように“昭和”を取り入れた大ヒットドラマがあった。昨年1月から放送されたTBS系「不適切にもほどがある」(以下、『ふてほど』)のことだ。阿部サダヲが主演を、宮藤官九郎が脚本を担当した奇想天外のコメディー。阿部演じる東京都葛飾区立第六中学校の体育教師兼野球部顧問が1986年(昭和61年)と2024年(令和6年)をタイムスリップすることで、巻き起こる騒動を通してコンプライアンスが行き過ぎた現代社会を風刺するといった意欲作だった。

「三谷作品は軽妙洒脱でユーモアに富んでおり『もしがく』もその路線ですが、考察したくなるような登場人物の謎や現代社会への鋭い観察があまり盛り込まれていません。TBS系『VIVANT』のようにSNSで考察合戦がヒートアップし、その流れで視聴率に勢いがつくといった良い循環ができていないようです」(同関係者)

 ドラマのタイトルは1623年に出版されたシェイクスピアの喜劇「お気に召すまま」に登場する「すべてこの世は舞台、人は皆役者に過ぎぬ」というセリフに由来する。無理に連ドラ化するより都内の小劇場で舞台化した方が良かったのではないか。

デイリー新潮編集部

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