「来季もスタンフォード大でプレー」表明も…「佐々木麟太郎」を指名したソフトバンクに勝算はあるか 「2012年の後悔を繰り返したくない」との指摘も

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来年6月までは……

「来年のシーズンは間違いなく、スタンフォード大でプレーすることは決めているので、それが揺らぐことはありません」

 10月23日に行われたプロ野球ドラフト会議で、福岡ソフトバンクホークスが1位指名した佐々木麟太郎(20=米スタンフォード大学)のマネジメントを担当するナイスガイ・パートナーズの木下博之氏が27日、佐々木の“キャンパスライフ・プラン”を明かした。野球部の来季活動が終わる来年6月まで動きはないというが、7月にはMLBドラフトもある。そして、日本でもこんな疑問の声が渦巻いている、

「指名しても、本当にソフトバンクに入団するのか?」――。

「花巻東高を卒業する年、ドラフトに掛かっていたら1位指名されていた逸材です。高校通算140本塁打を放ったパワー、ひと振りで球場の雰囲気を変えられるホームランアーティストではありますが、日本のプロ野球球団はおろか、国内の大学、社会人野球にも興味を示しませんでした。メジャーリーグの球団に指名されることを目標に米国留学したのです」(スポーツ紙記者)

 メジャーリーグでドラフト指名対象となる大学球児は「21歳以上か、3年修了」。佐々木が指名された場合、契約金などの条件提示でも「NPBは太刀打ちできない」とし、ソフトバンクは「入団拒否のリスクも背負って冒険した」というのが大方の見方である。

「佐々木がNPB球団に指名されたことは米国でも報じられましたが、反響は大きくありません。スタンフォード大学が、所属する大学リーグNCAAを通じて、NPB球団からの指名の有無に関わらず、来年2月から始まるリーグ戦に彼が出場することが事前に伝わっていたためでしょう」(米国人ライター)

 現地の情報を集めてみると、日本国内とは真逆な捉え方がされていた。ソフトバンクはメジャーリーグのドラフト会議に対抗できる。むしろ、入団する可能性は低くないと見るべきだろう。

 その理由だが、まず一つは佐々木に対する米スカウトの評価だ。彼らは佐々木のことを「将来性」で見ており、契約してもマイナーリーグで時間を掛けて育てていく必要があると判断しているようだ。

「米国内の大学生評価では上位100人に入っているのは間違いありません。メジャーリーグのトレードや補強の情報をメインとする米メディア『MLB Trade Rumors』では89位にランクインしていました。彼のバッティングのヘッドスピードはトップクラスです。ただ、その体付きから見て、一塁しか守れないのではないかと思われています」(ア・リーグ中地区スカウト)

 佐々木はNCAA一部リーグ戦を1年戦い、その成績は201打数54安打で打率2割6分9厘。本塁打7、打点41.OPSは「.790」だった。前出のア・リーグ中地区スカウトによれば、「OPSで.800を超えていれば強打者」という大学生野手の指標があり、その数字には届いていないが、「1年目なのによく頑張った」とのことで「強打者のボーダーライン上に踏み止まっている」という評価だ。本塁打数はチーム内で4位、打点は3位である。

「OPSで.800に届かない選手も指名されています。米球界のストライクゾーンは外角に広く、そういう違和感もあったはず。打席での構え方をややオープンスタンスにしたり、上半身を高校時代よりも『くの字』にしたりして打つ試合もありました。米国投手のムービングボールにも対応できており、適応能力は高く、磨けば光る原石だと思います」(前出・同)

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